
元看護師のライター、くれやサチです。
看護師として約5年、病棟勤務をしていました。急性期〜慢性期リハビリ病院での経験があります。担当経験のある部署は、整形外科・眼科・耳鼻科・血液内科。院内では、褥瘡委員として患者様の褥瘡ケア管理にも携わりました。
>> 監修者一覧はこちら
看護師の免許を取得するうえで、年齢制限はありません。
社会人や主婦から目指す方も多くいます。
まずは専門教育を受けられる学校へ通い、すべての過程を修了することで国家試験の受験資格を得られる仕組みです。
この記事では、看護専門学校に通って看護師になった私が、看護師になるために必要な資格やルートについて詳しく紹介します。
いくつかのルートがありますので、自分の目的や状況に適した学校を選ぶことが大切です。

私が合格するまでの体験談も紹介していますので、これから看護師を目指す方はぜひ最後までご覧ください。

看護師になるために必要な資格

看護師として働く場合、必要な資格は「看護師免許」です。
看護師免許は看護養成学校や大学を卒業し、看護師国家試験に合格することで取得できます。
国家試験と聞くと難易度が高く感じますが、看護師国家試験の合格率は90%前後。
きちんと専門教育を修了して挑めば、ほとんどの方が合格できる試験です。
看護師国家試験は、1年に1回、2月頃に実施されます。
看護師になるには?ルートや各学校の特徴を紹介

看護師になるための主なルートと、各学校の特徴を紹介します。
それぞれ異なる特徴がありますので、違いを確認しておきましょう。
看護系大学(4年制)
4年制の大学では、3年制の学校よりも通う期間が長い分、看護の知識や技術をゆっくりと身につけられます。
資格習得以外の一般教養を看護と関連付けて学べるのも、4年制大学のメリットです。
短期大学や専門学校に比べると看護師になるまでの時間はかかりますが、その分ほかのルートよりも初任給がやや高め。
看護師免許だけでなく、保健師や助産師、第一衛生管理者、養護教諭二種免許状といった資格を取得できるチャンスもあります。
ただし、すべての4年制大学が保健師や助産師などを目指せるわけではありません。

卒業後にそれぞれの受験資格が与えられる学校に限ります。
看護系短期大学(3年制)
3年制の短期大学では、看護の知識だけでなく、一般教養も身につけられます。
4年制の大学よりも1年間早く看護師になれますが、看護系の短期大学は全国に学校数が少ないのがデメリットです。
看護専門学校(3年制・4年制)
看護系の専門学校は、大学や短期大学よりも費用を抑えられるのがメリットです。
学校数も多いため、通学の面でも融通がききます。
デメリットは、大学卒業者よりも給与がやや低くなることです。
また、専門学校に通うだけでは保健師・助産師の資格取得は目指せません。

ちなみに私も、看護専門学校を卒業して看護師になりました。
選択した理由は、学費を抑え、時間をかけずに看護師になりたかったからです。
私が通っていたのは県立の専門学校で、1年間の授業料が10万円ほどでした。
地元の看護大学は年間100万円近く費用がかかるので、学費が抑えられたのはとても嬉しかったです。
専門学校を卒業後、ほかの大学卒の看護師とともに働き始めましたが、看護師としての技術や知識はどちらも変わりないように感じました。
看護師養成課程校(5年一貫)
5年一貫の看護師養成課程校では、中学を卒業後、高等学校(看護科)3年間+看護専攻科2年間の計5年間で看護師国家試験を受験できます。
中学生の時点で看護師になりたい気持ちが固まっている方に最適のルートです。
最短で20歳から看護師として働けます。
地域によって学校数にバラつきがありますが、少しでも早く看護師として働きたい方は、近くに通える学校があるかチェックしてみましょう。
社会人や主婦が看護師になるには?ルートや注意点を紹介

社会人や主婦が看護師を目指す場合も、専門知識を身につけるために看護系の学校に入学する必要があります。
面接や小論文が中心の社会人入試を受けることも可能です。
ここでは、社会人や主婦が看護師になるためのルートや注意点を紹介します。

働きながら看護師資格の取得を目指す方法もありますので、自分に適したルートを確認してみましょう。
最終学歴が中学校卒業の場合
看護師になる大前提として、中学校卒業が必須です。
もし高校を卒業をしていないのであれば、以下の3つの方法で看護師になることができます。
- 准看護師免許を取得し、実務経験を3年以上積んでから看護学校に通う
- 5年一貫の看護師養成課程校に通う
- 高認試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格し、看護学校に通う

さらに詳しく解説します。
准看護師免許を取得し、実務経験を3年以上積んでから看護学校に通う
中学校卒業の学歴があれば、最短2年で「准看護師」として働くことができます。
少しでも早く看護の現場で働きたい方は、まず准看護師を目指し、実務経験を積んでから看護師の道を考えてみるのもよいでしょう。
具体的には「准看護学校2年→実務経験3年→看護学校2年→看護師」というルートで看護師を目指せます。
ただし、准看護学校は年々減少傾向であるため、全国に数が少ない点がデメリットです。
5年一貫の看護師養成課程校に通う
5年一貫看護師養成課程校は、高等学校(看護科)3年間と看護専攻科2年間の計5年間で看護師を目指します。
入学してから最短でも5年後に就職となるため、社会人や主婦にとっては少し時間のかかるルートです。
その分じっくりと学ぶことができますが、時間とお金に余裕がないと少し厳しいでしょう。
高認試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格し、看護学校に通う
高認試験(高等学校卒業程度認定試験)は、合格することで高等学校卒業と同等の学力を認められる国家試験です。
合格すれば大学や専門学校等への受験資格を得られ、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載できます。
ただし、資格を取得しても高等学校を卒業したことにはなりません。
年に2回試験が実施されますが、合格率は3〜4割程度。
高認試験の勉強とは別に、看護学校へ入学するための勉強も必要です。
最終学歴が高等学校卒業の場合
最終学歴が高等学校卒業であれば、看護系の大学や短大、看護専門学校(看護師養成所)に通って看護師を目指しましょう。
社会人や主婦が看護系の学校を受験する場合、一般入試だけでなく、社会人入試で入学する方法もあります。
ただし、すべての学校で社会人入試を行っているわけではありません。
ちなみに一般入試は、高校卒業程度の学力を問う試験内容+面接・小論文となります。
社会人入試は、勉学や入学に対する志で判断されることが多く、面接や小論文が中心です。
社会人入試の倍率は非常に高く、私が通っていた専門学校での倍率は10倍〜20倍ともいわれていました。
社会人入試は9月〜12月、一般入試は1月〜3月に行われる傾向があります。

一般入試と社会人入試、両方の入試に向けて勉強を行うとよいでしょう。
社会人や主婦が看護師を目指す際の注意点
社会人や主婦から看護師を目指す場合、家族の協力や仕事の調整が必要です。
仕事をしている方は、看護学校に通うための時間を確保しなければなりません。
看護学校の授業は基本的に週5日、朝から夕方17:00頃まで。
実習期間中は帰宅後にレポートを仕上げる必要があるため、フルタイムの仕事と学校の両立は厳しいものとなります。
また、子育て中の主婦の方は家族の協力が必須です。
病院での実習期間中は、1日のレポートをまとめ、翌日の看護計画を立てないといけません。
実習が終わってからレポートを作成するため、時間がかかり、徹夜をすることもあります。
かなりハードな期間となりますので、家族と話し合い、家事などを協力してもらいましょう。
なお、准看護師であれば全日制・半日制がありますので、社会人でも働きながら資格の取得ができます。
全日制は週3日で授業を行う学校もあり、授業がない日に仕事を組むことができるでしょう。
半日制は平日の午後、もしくは夜間から授業があります。
パートやアルバイトなど、午前中にスケジュールを組んで仕事が可能です。
このように、准看護師は社会人や主婦にとって通学しやすい条件が整っています。

看護職に挑戦してみたいけど時間がないという方は、働きながら2年間で資格取得を目指せる准看護師も検討してみてはいかがでしょうか。
看護師と准看護師の違い
ここでは、看護師と准看護師で悩む方に向けて、看護師と准看護師の違いを紹介します。
免許(資格)の違い
看護師の免許は、国家試験に合格することで厚生労働省から発行されます。
それに対して准看護師は、都道府県知事が発行する免許です。
看護師は国家資格であるため、取得するまでのハードルが高くなっています。
仕事内容の違い
看護師は、患者さんの療養上のお世話や診療の補助が主な仕事内容です。
准看護師も看護師と同様の業務を行ないますが、自己判断ができず、ほかの看護師に指示を出すことができません。
業務の前に医師や看護師の指示を受ける必要があります。

普段の仕事内容に大きな違いはありませんが、自分の意志で動けないのが大きな違いです。
ちなみに私が以前働いていた病院には、准看護師歴30年以上のベテランが勤務していました。
実力があり、注射や採血がうまくいかないときに最終的に助けてくれるような存在です。
3年ほど一緒に働いていましたが、仕事面で看護師との差はまったく感じられず、患者さん思いのすてきな方だったのを覚えています。

しかし、いくらベテランでも定められたルールは破れないのです。
看護師の仕事内容を詳しくまとめた記事もありますので、看護師を目指す方はぜひそちらもご覧ください。

キャリアの違い
看護師のキャリア形成として、看護部長や師長などの管理職、専門性を極める専門・認定看護師への道があります。
准看護師の場合、どんなに勤務経験を積んでも管理職や専門看護師を目指すことができません。
キャリアアップを目指すのであれば、看護師の免許が必要です。
看護学校生活で大変だった体験談

私自身、高校3年生から看護師を目指していました。
専門学校に入学するときの受験ではあまり苦労しなかったのですが、入学してからはとても厳しい道のりでした。
ここでは、私が看護専門学校に通っていて特に大変だったことを紹介します。

これから看護師を目指す方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。

徹夜で仕上げた実習レポート
私が1番大変だったのは実習のレポートです。
実習は大体15:00頃に終了しますが、そのあとに担当看護師と学生で反省会をし、学校へ戻るのは17:00頃。
帰宅後は指導看護師からの課題(疾患や治療について)を行い、翌日の実習に向けて看護計画と行動計画を立て、レポートをまとめます。
実習は体力や気力も使うため、帰宅する頃には心身ともに疲労感でいっぱいです。
ゆっくり休む時間もなく、レポートを書かなければいけないことがなによりも大変でした。

1番厳しいと言われた科目の実習では、睡眠時間が30分もない日が続くほどでした。
学校内での実技試験
学校外で実習に入る前に、学校内で実技の試験があります。
点滴・注射といった医療行為の実技から、手洗い・陰部洗浄・シーツ交換など、診療上のお世話の試験までありました。
どの試験もとても厳しく、授業内で1度練習した程度では不合格になってしまいます。
テストのある月は授業が始まる前や放課後に時間を作って、学生同士で練習を繰り返していました。
日々の体調管理
実習中は心身ともに疲労が溜まりやすく、睡眠時間も少ないです。
体調を崩してしまうと実習の単位が足りなくなってしまい、1人で追加実習を受けることもあります。
実習中の休日は、実習に響かないように自宅で過ごし、食事面にも気を使いました。

休日の外出が原因で体調を崩すわけにはいきません。
看護師国家試験に向けた勉強のポイント

各学校によって異なりますが、私の学校では国家試験の2か月前まで実習が入っていました。
実習中は国家試験の勉強に時間を割く余裕がなく、集中して勉強ができたのは2か月ほどです。
それでもクラスの9割が合格できました。
ここでは、私が実践した勉強のポイントを紹介します。

実習期間で学んだことをノートに書き込む
看護学校の実習は、徹夜が続くほどハードなものです。
ここでの努力を無駄にしないために、学んだことを国家試験用のノートを作成して書き込んでいました。
実習期間に患者さんの疾患や治療法について徹底的に調べることが、後の国家試験に活きます。
クラスメイトとチームを組んで勉強を進める
私が通っていた専門学校では、国家試験対策はチームを組んで進めることが伝統でした。
5〜6名のチームを組んで、国家試験対策の勉強を進めていきます。
学校が休みの日にチームで集まって勉強をすることで、最後まで集中して走り抜けることができました。
やる気が出ない日でも、友達が頑張っている姿を見ると「自分も頑張ろう」というに気持ちになれるのがメリットです。
また、一人ひとり得意な分野が異なるため、お互いの苦手な部分をカバーして教え合えるところもチームの良さだと感じました。

仲間とともに勉強できる環境は大切ですので、ぜひチームを作って勉強を進めてみてください。
試験日が近くなったら過去問・予想問題集を解く
試験の1か月ほど前から、ひたすら過去問と予想問題集を解くようにしていました。
時間内に問題を解く練習を行い、知識が曖昧な部分を強化していきます。

予想問題集の中から、実際の試験に出題されたこともありました。
まとめ:看護師になるには、国家試験に合格して「看護師免許」を取得しよう

看護師になるためには、看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得する必要があります。
合格率は90%前後の試験ですが、看護系の学校に通い、すべての過程を修了しないと受験資格を得られません。
社会人や主婦から看護師を目指す方は、時間の確保と家族の協力が必要です。
まずは准看護師を取得してから看護師を目指すルートもありますので、自分のライフスタイルに適したルートを選択しましょう。
なお、看護師を目指すべきか悩んでいる方は、やりがい、大変なところ、嬉しかったエピソードをまとめた記事もありますので、ぜひ色々な方の体験談を読んでみてください。




私自身の経験と、独自アンケートで回答いただいた看護師さんのエピソードをまとめています。

