
元保育士のライター、ほうらいです。
保育補助として保育園で働きはじめ、退職するまで7年間勤務。その間、産休や育休を利用しながら保育士資格を取得しました。現在は2児の母で育児に専念しています。
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「保育士になるにはどうしたらいいの?」
「主婦や社会人でもなれる?」
「学歴は関係ある?」
どんな方でも保育士を目指せますが、その人の学歴や職歴などの状況によってルートが変わってきます。
いざ保育士になりたいと思っても、まずは保育士資格の取得が必要です。
この記事では、社会人になってから保育士の資格を取得した私が、保育士の資格や試験について紹介します。

私のように保育補助から保育士になるルートもありますので、ぜひ諦めないでくださいね!

保育士になるために必要な資格

保育士になるには、国家資格である「保育士資格」を取得する必要があります。
ただし、資格を取得しただけでは児童福祉法で定められた「保育士となる資格を有する者」になるだけで、働くことはできません。
保育士として働きたい場合は、資格取得後に都道府県知事へ登録申請し、「保育士証」を交付してもらう必要があります。

申請せずに保育士を名乗って働いてしまうと、罰則が課せられるので注意してくださいね。
働く予定が無い場合には申請しなくても問題ありませんし、申請期限もありません。
ですが、いざ働きたいと思ったときに「申請していなかった」ということがないように、資格を取ったらすぐに申請することをおすすめします。
保育士登録申請には、登録1人につき、以下の費用が必要です。(参考:保育士の登録/保育士登録申請手続き、新規登録)
- 保育士登録の手引き:140円
- 手数料:4,200円
申請してしまえば更新の必要はなく、引越しで違う都道府県に移っても住所変更をする必要はありません。
ただし、以下のような場合は申請が必要となるので、登録事務処理センターにてご確認ください。
- 結婚などで氏名が変わった
- 本籍地が変わった
- 保育士証を紛失した
保育士になるには?資格を取得する方法

保育士資格を取得するには、大きく分けて2通りの方法があります。
保育士養成学校を卒業する
指定された保育士養成学校(厚生労働大臣が指定する4年制大学・短期大学・専門学校)にて、所定の課程・科目を履修し、卒業することで資格を得られます。
高校生のうちに決意が決まっている方は、このルートで保育士を目指すのがおすすめです。
保育士養成学校に通うメリットは、実践的な内容を履修できる点です。
実際に働く前に実習などを行うことで、自分の目標が明確になります。
また、保育士資格と同時に幼稚園教諭の資格を取得できる学校もあり、選択肢が広がるのも魅力です。
保育士試験に合格する
保育士養成学校を卒業していない方は、独学や通信講座などを利用し、保育士試験の合格を目指しましょう。
最終学歴が高校卒業・中学卒業の方は、児童福祉施設での実務経験も必要です。
詳しくは、一般社団法人 全国保育士養成協議会の受験資格ページにて、最終学歴と照らし合わせてご確認ください。
私が保育補助から保育士になるまで

私は保育補助として保育園で働きながら、通信講座とダウンロード教材を使用して保育士資格を取得しました。

なかなか合格できない科目があり、勉強開始から3年ほどかかってしまいました。
勉強を始めた頃はまだ子どもがいなかったため、平日は保育補助として8時間勤務。
通勤時間などを活用し、平日でも1~2時間の勉強時間を確保していました。
途中で妊娠・出産を経験し、勉強を再開。

苦手な科目をクリアし、資格を取得できたときはとても嬉しかったです。
現在は試験が年2回に増え、インターネット上で多くの情報を得られるため、半年〜2年ほどあれば全科目合格できる可能性が高いと思います。
合格した科目は3年間有効です。
- 全科目で1発合格を目指す
- 数回に分けて合格を目指す
自分のライフスタイルに合わせて勉強ができるように、無理のない計画を立てましょう。
「独学や通信講座だと挫折しそう」という方は、通信制の大学もあります。
なお、私が保育士資格を取得するまでの流れは以下の記事で詳しくまとめていますので、1つの体験談として読んでみてください。

私が利用したユーキャンの通信講座は、保育士を目指す多くの方に利用されています。
当サイトでは独自アンケート調査で利用者の声を集めましたので、通信講座を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

通信講座の一覧は以下の記事にまとめています。

独学でおすすめのテキストや勉強法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

保育士試験の概要
保育士試験を受験して資格を取得する方向けに、試験の概要を紹介します。
受験資格
保育士試験には受験資格があります。
最終学歴や職歴によって変わってくるため、注意が必要です。
自分の状況と照らし合わせて、一般社団法人 全国保育士養成協議会の受験資格ページで確認しましょう。
試験内容
保育士試験では、筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
詳細は以下のとおりです。
筆記試験
筆記試験は全部で9科目。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
科目数が多いですが、9科目を1度に全部合格しなくても大丈夫です。
1度合格した科目は合格した年を含めて3年間受験を免除されますので、その間にほかの科目も合格すれば、実技試験に進むことができます。
また、以下のような資格を保有している場合は免除される科目があるので、事前に申請しておきましょう。
- 幼稚園教諭免許
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
私が受験した頃は年1回しか試験が実施されていなかったため、資格取得までに時間がかかってしまいました。
しかし保育補助として保育園で働いていたため、合格した科目の有効年数を延長することができました。
保育士資格は実務経験や保有資格を優遇してくれる制度が多いので、該当するものがないかよく確認しておきましょう。
実技試験
実技試験は、3つの中から2つを選んで受験します。
- 音楽に関する技術
- 造形に関する技術
- 言語に関する技術
音楽は、ピアノ・ギター・アコーディオンのどれかで、事前に与えられる課題曲を演奏します。
造形は、試験時に出題された保育の一場面を絵画で表現する試験です。
言語は、3歳児クラスの子どもたちが目の前にいる想定で、3分間の素話(絵本や紙芝居などを使わずに物語を伝えること)を行います。
お話は事前に提示された課題の中から1つを選ぶので、練習して臨むことが可能です。
どの課題も難易度は高くないので、事前に練習しておくことで十分合格に手が届くものとなっています。
試験の日程
2016年4月から、年に1回だった試験が年に2回に変わりました。
試験実施日程は以下のとおりです。
【前期試験】
筆記試験:4月
実技試験:7月
【後期試験】
筆記試験:10月
実技試験:12月
筆記試験は科目が多いため、土曜日と日曜日の2日間に渡って実施されます。
実技試験は筆記試験の2、3か月後に行なわれるため、しっかりと対策をしてから受けることが可能です。
具体的な日程などの最新情報は「一般社団法人 全国保育士養成協議会」の公式サイトでご確認ください。
合格率の目安
保育士試験の合格率は20%前後となっています。
過去の合格率は、以下の表を参考にしてください。
実施年度 | 受験者数 ※全科目免除者は除く | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元年度 | 77,076人 | 18,330人 | 23.78% |
令和2年度 | 44,914人 | 10,890人 | 24.25% |
令和3年度 | 83,175人 | 16,660人 | 19.96% |
同じ国家資格で合格率を比較すると、弁護士(司法試験)が30〜40%、看護師が80%〜90%。
保育士試験は非常に合格率が低いです。
ただし、司法試験や看護師は専門に学べる大学や専門学校で知識をつけた人たちが受験するため、高い合格率になっている傾向があります。

単純に合格率だけでは比較できません。
保育士試験の合格率の低さには、以下のような理由が考えられます。
- 受験者の多数が専門知識を学んできていない人である
- 科目数が多く、出題範囲も広い
- 全科目で6割以上とらなければならない
それでも簡単に合格できる試験ではないため、しっかりと勉強してから挑戦しましょう。
保育士資格を取得するまでの流れ

保育士資格を取得するまでの流れについて、詳しく説明します。
受験資格や、免除科目などは事前にしっかり確認しておきましょう。
筆記試験の流れ
筆記試験の受験申請から合格までの流れは、以下のとおりです。
免除科目などがある場合も、受験申請の手引きに書いてある内容に沿って手続きをしてください。
実技試験の流れ
筆記試験で全科目に合格すると、実技試験を受験できます。
紛失しないように、大切に保管しておきましょう。
筆記試験と同じ都道府県で実技試験を行います。
不合格の科目があった場合も、結果の通知は送られてきます。
資格取得後に必要なこと
資格取得後は、登録申請を忘れないようにしましょう。
登録後、保育士証を受け取ってから保育士としての仕事に就くことができます。

この瞬間がかなり嬉しいです!
保育士資格があればできる仕事
保育士資格を取得してできる仕事は、保育園で働くことだけではありません。
- 自宅で子供を預かる保育ママ
- 病児保育室
- 子育て支援センター
- 乳児院
- ベビーシッター など
仕事の幅は多岐にわたるため、自分の今後のキャリアを考えて仕事を探してみましょう。
2015年に誕生した「放課後児童支援員」など、保育士資格があることで挑戦できる別の資格もあります。

資格を取得して終わりではなく、何を目指すのかをしっかりと考えていくことが重要です。
別の記事で保育士に向いている人・向いていない人についても紹介しているので、保育士になろうか悩んでいる方はぜひ読んでみてください。
私自身の実体験を含めてまとめています。

まとめ:きちんと目標を決めてから保育士資格を目指そう

保育士の資格は誰でも取得することができますが、学歴や職歴によって合格までのルートが異なります。
合格率が低いため、まったく知識のない方がすぐに合格を目指すのは簡単なことではありません。
私のように、保育補助で経験を積んでから保育士資格を目指すのも1つの方法です。
保育士を目指そうか悩んでいる方は、やりがい、大変なところ、思い出のエピソードをまとめた記事もありますので、ぜひ色々な方の体験談を読んでみてください。




私自身の経験と、独自アンケートで回答いただいた保育士さんのお話をまとめています。

