この記事の執筆・監修者
ほうらい
保育補助として保育園で働きはじめ、退職するまで7年間勤務。その間、産休や育休を利用しながら保育士資格を取得しました。現在は2児の母で育児に専念しています。
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保育士証の写真は、ご本人様より提供いただいたものを掲載しています。
保育士はとてもやりがいのある仕事ですが、ときにはきつくて大変と感じることもあります。
楽しい気持ちよりもつらい気持ちのほうが強くなり、そのまま辞めてしまう方も少なくありません。
そこで当サイトでは、保育士の本音をリサーチするために独自アンケート調査を行いました。
この記事では、10人の方に聞いた保育士の仕事で大変なことを紹介します。
ほうらい
大変なことばかりではありませんが、働いてから大きなギャップを抱かないためにも確認しておきましょう。
目次
【10人のエピソード】保育士の仕事で大変なこと
保育士として働いていた経験がある10人の、仕事で大変だと感じることを紹介します。
さまざまなエピソードがありますが、保育施設の環境や雰囲気によって”大変さ”は大きく異なるように感じました。
アンケート調査は「クラウドワークス
」にて行い、以下の項目に回答していただきました。
1:外国籍の保護者とのやりとりが難しい
ちはるんるんさんの保育士証
1人目は、ちはるんるんさん(20代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
私が1番大変だと感じたことは、保護者との連携です。
外国籍のお子さんが多く通う園で働いていたとき、保護者の方と言葉のやりとりがうまくできませんでした。
子どもの姿が伝わりきれなかったり、それぞれの想いが相違してしまったりと、連携の難しさをとても感じました。
保育は子どもと関わる仕事ですが、保護者の方との関わりもとても大切です。
改めて関わり方を考えたいと思いました。
2:園の消耗品を使いにくい雰囲気だった
りんごさんの保育士証
2人目は、りんごさん(30代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
「子どもたちのため」という理由で、早番で16時までの勤務なのに延長保育が終わるまで残る雰囲気だったのが大変でした。
また、画用紙や折り紙、不織布やカラーポリなどの消耗品を使える量が決まっており、使うたびに「何にどれだけ必要」という書類を出さないといけませんでした。
提出しても「それは本当に必要?」などと聞かれ、園の消耗品を使いにくい雰囲気になり、実費で購入して使っていたところが大変でした。
ほかにも手書きで連絡帳や日誌、個別記録など、同じ内容を色々なところで何度も書かないといけない園にいたときは大変でした。
3:毎日の業務が多い
oolooさんの保育士証
3人目は、oolooさん(30代男性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
感情労働であり、精神的な労働の大きさはあると思います。
また、毎日の業務が多いにも関わらず、子どもの預かり時間は伸びていることも大変だと感じます。
4:サービス残業が当たり前
すずさんの保育士証
4人目は、すずさん(30代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
こだわりの強い職員が多く、行事のたびに去年の物を使い回しするのではなく、ほぼ一から手作りすることが多いのが苦痛です。
そのため、行事の時期になると毎日サービス残業は当たり前になります。
園に残って仕事をすることを美徳としている職員も多いです。
また、子どもの人数が多くて正職員の人数が少ないため、書類書きなどの負担が多く、休みの日も自宅でしないと追いつかないことも多々あります。
保護者対応や引き継ぎも正職員じゃないといけないという決まりがあるので、保護者対応が長引いたときはサービス残業となり、帰るのが遅くなることもしばしばあり不満を感じます。
パートだと融通が利いて働きやすい職場だとは感じますが、正職員に対する負担は大きいです。
5:休日も仕事をしないと終わらない
さんごさんの保育士証
5人目は、さんごさん(20代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
保育士は何でもできないといけません。
歌やピアノはもちろん、楽器や運動指導、制作、劇あそびの指導、食育や養護の面からのサポート、そして保護者支援などです。
幅広く知識が必要な職業であるため、苦労が多いかと思います。
自分の園は園児数が多い分、記録物や制作の準備に時間がかかりました。
平日は定時に帰れることはほどんどなく、休日も園に行って仕事をしたり、持ち帰りの仕事で徹夜をしたりしていました。
休日にしっかりと休めなかったことが大変でした。
6:子どもの年齢に合わせた対応が大変
ぬんさんの保育士証
6人目は、ぬんさん(20代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
年齢によって大変さが変わってくると思いますが、保育士1年目で年少を受け持ったときは、とにかく何を言っても聞いてくれない、やってくれないで、声が出なくなるほど大変な思いをしました。
同時に、どれだけの信頼関係が必要なのかを実感しました。
年長のクラスではとにかく活動が多く、子どもたちが成長した分、やることが多くて大変でした。
行事の発表では、音楽、劇、楽器など、年長としてクオリティの高いものが求められ、それぞれ一から考えて行事当日を迎えるまでの日々は毎日が葛藤でした。
7:休憩時間がないことがつらい
spさんの保育士証
7人目は、spさん(30代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
勤務時間が長く、休憩時間が午睡中のみなので、休憩という時間がないのが大変です。
息抜きできる時間がないのはちょっとつらいです。
人間関係は女性が多い職場なので、うまく交わしていく力がないと難しいかなと思います。
保護者の中には対応が難しい方もいて、日々勉強です。
また、体力勝負なので勤務地が遠いのも大変なのかなと思います。
8:常に神経をつかうことが大変
りーふさんの保育士証
8人目は、りーふさん(30代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
0歳児では、床に落ちている物を拾って口に入れようとする、絵本を舐めたり噛んだりして紙が口に入ってしまうなど、誤飲が怖いです。
少しも目を離すことなく、安全に過ごせるように常に神経をつかうことがとても大変です。
1歳児以降は他児とのやりとりが出てくるので、友達とのトラブルがよくあります。
そのたびに仲介をするのですが、どちらが悪いと決めるのではなく、双方の思いを聞きながら思いを汲み取って受け入れ、「こうしたかったんだよね」「じゃあどうすればよかったのかな?」と伝えるのがとても大変です。
9:園長が威圧的で性格が合わない先生もいる
すけさんの保育士証
9人目は、すけさん(30代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
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保育活動のほかに、指導案や連絡帳の記入など、やることがたくさんあります。
行事の準備で忙しい時期は帰宅時間も遅いです。
毎日持ち帰りの仕方があり、業務以外にやることが多いのも大変でした。
また、女性職員の多い職場なので、性格が合わない方もいます。
園長が威圧的で相談しにくかったり、保護者様との連携が難しかったり、色々な考えの方がいるので大変でした。
10:1歳児クラスを受けもったときが大変だった
なむるさんの保育士証
10人目は、なむるさん(20代女性)です。
- 保育士をしていて、大変だと感じることを教えてください。
-
開放的で自由なスタイルであり、熱心な保育所で働いていました。
1歳児クラス担任でしたが、事情がない限りいつも扉は開きっぱなしの状態でした。
そうなると、みんなあちこち行ってしまうのでヒヤヒヤするし、調理師さんやほかのクラスの先生に見てもらっていた……なんてこともありました。
この年齢は危なっかしいので目を絶対に離してはいけない、でも本人の意志もある程度尊重してあげなければならない、この矛盾した状態が苦しくて初めの数か月はつらかったです。
さらにトイレトレーニングが1歳児クラスから始まるので、オムツではなくパンツでした。
毎日どころか1日に何度も床のおしっこを拭き、ときにはうんちを踏んでしまうこともあり、とにかく良くも悪くも賑やかな日々でした。
私が保育士をしていて大変だったこと
業務時間はほとんど子どもと接している状態で、ほかの仕事をする余裕がありません。
保育士の仕事量は多く、お昼寝の時間だけではすべて終わらないのが現状です。
日常的な書類作成だけでなく、順番にまわってくる誕生日会や夏祭りなどの担当になれば、その企画から準備・練習までする必要があります。
さらに発表会や運動会があれば、保育園全体がイベントに向けて動き出します。
壁面作成や毎月の製作準備、日中活動の事前準備など、日々の保育は変わらない質で行いつつも、任された仕事をこなさなければいけません。
ほうらい
なかでも私の場合は、自分の子どもを育てながら担任をしていた時期が1番大変だったなと思います。
お迎えがあるので残業ができず、子どもを寝かせてから持ち帰った仕事をすることも多々ありました。
結局子育てに専念したいという気持ちが強くなり、保育園を退職。
もっと経験のある保育士さんであれば、今まで作ってきたものを活用したり、準備に時間のかからない遊びを知っていたりするので、経験を積むことで軽減される部分もあるのかもしれません。
ほうらい
実際に保育士と子育てを両立している方も多くいます。
保育士がつらいと感じたときの乗り越え方
保育士をしていてつらいと感じたときは、そのままにせず、早めに解決策を考えることが大切です。
ここでは、つらいときの乗り越え方を紹介します。
子どもに対する考え方を再確認する
気持ちに余裕がなくなってきたと感じたら、子どもに対する考え方を再確認しましょう。
子どもはうまくできなくて当たり前であり、すぐに理解できないのも仕方のないことです。
しかし、仕事や人間関係がつらくて日々悩んでいると、自分自身の余裕がなくなり、寛大な心で子どもの姿を見守れなくなる可能性があります。
- うまくできない子にイライラしてしまう
- 何度言ってもふざけてしまう子を過剰に怒鳴ってしまう など
笑顔で見守ってあげることができなくなり、余裕のない自分をさらに責めてしまうかもしれません。
保育士が一人ひとり違うように、子どもにも得意・不得意があるのは当然です。
「どうしてあの子はできないの」という感情を抱くよりも、「できないあの子にどうやって声をかけてあげようか」と悩んだほうが、子どもの成長の手助けになります。
毎日がつらくて子どもへの対応がうまくできなくなってしまったと感じたときは、一度子どもとの関わり方を再確認しましょう。
園長や先輩保育士に相談する
仕事の悩みや人間関係の悩みなどがあるときは、内容を理解してもらえる身近な人に話すのが1番の解決策です。
園長や先輩保育士など、自分が信頼できる人がいれば思いきって相談してみましょう。
ほうらい
保育士としての経験が長い人ほど、同じような悩みを抱えていた時期があるかもしれません。
また、相談をすることでコミュニケーションになり、良好な関係が築けるきっかけにもなります。
悩みを相談できる相手がいるだけで、つらいときでも乗り越えられるケースは多いです。
保護者と積極的にコミュニケーションをとる
保育士は保護者との関わり方も重要です。
毎日の保護者対応が大変でつらいと感じているときほど、積極的にコミュニケーションをとることを心がけましょう。
保護者は大切な子どもの命を預けています。
子どものことが心配になり、園での様子を色々聞いてくる方も多く、些細な保育士の対応にも敏感です。
コミュニケーションが少ないと、「ちゃんと見てくれているのかな?」と不安に感じてしまう方もいます。
例えば私の場合、お迎えのときにその日にあった楽しいエピソードを交えて子どもの様子を伝えていました。
それに対して、保護者から感謝の言葉を伝えられたこともあります。
自分から話すことが苦手な方は、笑顔で積極的にあいさつをするところから始めてみましょう。
ほうらい
思いきって休みをとる
日々の激務でつらい気持ちが強く、休日まで憂鬱な状態になっているのであれば、思いきって休みをとるのも1つの乗り越え方です。
できれば連休になるようにゆっくり休めたほうが、より気持ちが解放されるでしょう。
一度保育から離れてリフレッシュすることで、「また頑張ろう」と思えるかもしれません。
転職を検討する
- 相談できる相手がいない
- 人間関係が改善しない
- 園長と考え方が合わない
- サービス残業は暗黙のルール
- なかなか休ませてもらえない など
誰にも相談できず、相談したところで何も変わらないのが目に見えているような環境であれば、転職を検討する勇気も必要です。
保育の現場は人手不足になっているところも多く、求人が途切れることはありません。
保育士に特化した転職支援サービスを利用することで、比較しながら次の職場を探せます。


まとめ:保育士は大変なことだけでなく、やりがいもいっぱい
この記事では保育士の大変なこと、つらいことをまとめてきたので、不安になってしまった方もいるかもしれません。
しかし、それ以上にやりがいを感じることがたくさんあります。
大変さは働く環境によっても大きく異なるため、働く前に園内の先生たちの雰囲気などを確認しておくことも重要です。
当サイトでは、保育士を対象に以下のようなアンケート調査も行っています。
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ほうらい
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