
元保育士のライター、ほうらいです。
保育補助として保育園で働きはじめ、退職するまで7年間勤務。その間、産休や育休を利用しながら保育士資格を取得しました。保育補助時代には5歳児クラスの専任サポートや全クラスを回っての補助、事務仕事など、幅広い仕事を経験。資格取得後は乳児クラスの担任となりました。現在は2児の母で育児に専念しています。
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保育士の資格がなくても、保育補助として保育施設で働くことができます。
私も最初は資格なしの状態で保育園に勤務し、保育補助として全体のサポートをしていました。
そこでこの記事では、保育補助の仕事について、実体験をふまえて詳しく紹介します。
保育補助と保育士を両方経験しているからこそわかる仕事内容の違いや、保育補助のメリット・デメリットなどをまとめました。

資格なしで保育園などで働きたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

資格なしで働ける保育補助とは?

保育補助とは、保育士の資格がなくてもサポート役として働ける仕事です。
保育の需要が増え、人手不足の保育業界では、保育補助へのニーズも高まっています。

まずは保育補助の役割や、働く方法を見ていきましょう。

保育補助の役割
保育補助は、保育園・幼稚園・託児所・認定こども園などで、無資格(資格なし)の状態で働くことが可能です。
子どもの食事介助や散歩の付き添い、おむつ替えや掃除など、保育士だけでは手が足りない部分のサポートが主になります。
子どもに関わる仕事や子育ての経験がなくても働くことはできますが、保育士と同じように子どもと接し、安全に配慮する必要があるため、子どもが好きではない人にはおすすめできません。
また、保育士は1日中忙しくて手が回らない部分も多いため、スムーズに保育ができるように自分で考えて積極的に動ける人に向いています。
保育補助として働く方法
保育補助として働く場合、応募から採用までは一般的なアルバイトと同じ手順です。
アルバイト募集の紙媒体やサイト、保育士専門の求人サイト、ハローワークなど、さまざまな場所で求人を探すことができます。
私の場合、保育補助として保育園で働く前は、まったく関係のない仕事をしていました。
退職してからハローワークに通っていたときに、偶然見つけたのが保育補助の仕事です。
面接では今までの経歴や応募理由、希望勤務時間などを聞かれ、面接の内容もほかのアルバイトと違いはありません。
ピアノや歌、手遊びができればもちろん役に立ちますが、採用の時点でそれらができるかどうかは聞かれませんでした。
大切なのは、以下のような部分です。
- 子どもや保護者と接しても問題がなさそうか
- 体力を使う仕事はできるか
- 能動的に動ける人か
また、子どもの命を預かる仕事ですので、覚悟と学びの姿勢をもって働く気持ちを忘れないことが大切です。
保育士と保育補助の違い
ここでは、私自身が保育補助として働いていた経験をもとに、保育士との違いを紹介します。
仕事内容や給料、待遇などの違いについてまとめました。

仕事内容の違い
保育士と保育補助の仕事内容で大きく違うのは、クラス担任を持てるかどうかです。
保育のメインとなる以下のような仕事は、すべて保育士が行います。
- 子どもに関する書類の作成
- 活動内容や装飾の考案
- 子どもへの活動の説明 など
保育補助は保育士が決めた保育活動を、安全かつ円滑に行えるよう補助していきます。
保育補助をしていたときは、主に以下のような仕事をしていました。
- クラスでの活動をしている間に次の準備(散歩や食事など)
- 絵本や手遊びで子どもを落ち着かせておく
- トイレの介助やおむつ替え
- 活動のお手伝い など
常に保育士や子どもたちの様子を見て動くことが大切です。
保育計画などの書類作成は保育補助にはできませんが、日々の連絡帳に関してはどの子がどんな様子だったかを伝えて手伝うこともあります。
また、受け入れや引き渡しの際は保護者と話す機会もあるため、保育士との情報共有も必要です。
給料や待遇の違い
保育士は正社員での採用が多くありますが、保育補助は主にアルバイトやパートでの採用となります。
正社員を募集していることもありますが、保育士よりは少なめです。
なお保育補助としてアルバイトやパートで採用された場合、給料は時給制です。
その分勤務時間や休みの希望が出しやすく、頼まれることがなければ残業もありません。
保育施設によって時給や福利厚生、賞与などが異なるため、応募の際に確認しておきましょう。
早番や遅番の時間帯だけ時給が上がる園もあります。
ちなみに私がいた保育園では、月に決まった時間以上働いている場合は一定額の賞与がもらえていました。
保育補助よりも保育士のほうが、もらえる金額は多いです。
給料に関しては、保育補助で8時間×週5日働いていたときよりも、保育士で正社員になったときのほうが、月に7万円くらいアップしました。

保育士になると仕事量や責任が増える分、全体的にもらえる金額は多くなります。
私が保育補助として働いたきっかけ

私は最初、保育とはまったく関係のない職場で働いていました。
退職してハロワークで求人を見ていたところ、偶然見つけたのが保育補助の仕事です。
もともと母が保育士として楽しそうに働いている姿を見ていたこともあり、「もっと人と関わる仕事がしたい」と思ったことがきっかけでした。
私自身が子どもの頃は幼稚園に通っていたため、保育園がどんな場所かもわからずに応募。
資格なしでまったくの未経験だったため、面接で落ちると思っていました。
しかし、まさかの合格。

突然「明日から来て」と言われ、とんとん拍子に話が進んだことに驚きました。
翌日から働き始めたものの、おむつ替えもしたことがなく、本当にゼロからの状態です。
すべて一から教えてもらいましたが、とにかく体力を消耗しました。
2日目の朝に電車で寝てしまい、乗り過ごして遅刻するという大失態があったのも、今では懐かしい思い出です。
採用してくれた園長や保育士さんたちに温かく迎えてもらえたことで、保育初心者でも保育補助としての仕事を抵抗なくスタートできました。
資格なしの保育補助から保育士を目指した理由

私は保育補助として保育園で働いている間に、保育士の資格を取得しました。
ここでは、なぜ私が保育補助から保育士を目指そうと思ったのか、その理由を紹介します。

当サイトでは保育士のなり方や私の勉強方法についてもまとめていますので、保育士の資格に興味のある方はぜひ以下の記事も読んでみてください。



これから保育業界に挑戦したいと思っている方の参考になれば嬉しいです。
保育の仕事に魅力を感じていた
保育園で働いているうちに、子どもたちと接する楽しさに魅了されていきました。
ただ単に楽しいだけではなく、学ぶことも非常に多くあります。
「保育という奥の深い仕事にもっと関わっていきたい」と思うようになりました。
保育補助になる前は人と関わることが少なかったため、「仕事中に笑っていいなんて本当に楽しい仕事だな」と衝撃的だったことを覚えています。
保育補助の仕事に限界を感じた
保育補助として1、2年働いていると、自分の中でもどかしさを感じるようになりました。
保育補助の仕事は、あくまでも補助です。
保育の中心部分に関わることはできません。
おむつ替えや掃除、壁面作成などは誰でもできる仕事でしたし、保育補助の立場で子どもたち一人ひとりに深く関わっていくことは難しいと感じていました。
ある程度保育補助の仕事ができるようになってから、「仕事の幅を広げたい」という思いが募っていったことも理由の1つです。
無資格に負い目を感じるようになった
保育園では、子どもや保護者に誰が無資格かということはいちいち説明しません。
もちろんクラス担任は有資格者ですが、補助に関しては有資格者と無資格者の両方がいます。

子どもや保護者からすれば、「先生=保育士」という認識の方がほとんどなんですよね。
保育補助をしていたとき、子どもも保護者も保育士の先生と同じように接してくれ、私のことを信頼してくれていました。
ですがその一方で、自分が無資格であることに負い目を感じるようにもなったのです。
「保育士の資格を取得して、胸を張って関われるようになりたい」という想いが強くなっていき、資格取得を考えるようになりました。
資格があればいつでも働けると思った
保育士の資格を取得する大きなメリットは、今後に活かせる点だと思います。
何らかの事情で一旦退職しても、またどこかの園で子どもに関わる仕事ができると思ったのも、資格取得を目指した理由の1つです。
手に職がある安心感があり、退職した今でも資格を取得してよかったと実感しています。
保育補助として働くメリット
私自身の経験をもとに、保育補助として働くメリットを紹介します。

適度な人間関係でやっていける
保育の世界は女性が多く、人間関係がややこしい職場があるのも事実です。
しかし保育補助としてパートやアルバイトで働く場合、あまり人間関係に深入りしなくても仕事が成り立ちます。
いじめや嫌がらせを受けないとも限りませんが、少なくとも自分以外の保育士同士のいざこざには巻き込まれにくい立場にあるでしょう。
残業がほとんどない
保育補助はパートやアルバイトでの募集が多く、その場合は働いた分だけ時給が発生する仕組みです。
保育園側はなるべく人件費を削りたいので、残業を頼まれることはほとんどありませんでした。
保育士さんたちが大変そうで、時間に余裕があるときにボランティアでお手伝いをすることはありましたが、強制されたことはありません。
基本的にシフト通りの時間で働けます。
ただし、正社員として働く場合は残業が発生することもあるかもしれません。
全年齢のクラスと関われる
保育園には0歳児〜5歳児クラスがあり、担任をもつと基本的にその月齢の子たちと長い時間関わることになります。
保育補助は特定のクラスのサポートを固定で担当することもありますが、人手が足りない場所に入るのが基本です。
そのため、全年齢の子どもたちと遊んだり、散歩に行ったりすることができます。
0歳児~2歳児の乳児クラスでは、とにかくかわいさに癒されました。
3歳児~5歳児の幼児クラスでは、子どもたちと元気に遊び、楽しさを共有できるのが保育補助の魅力でした。
保育補助として働くデメリット
私自身の経験をもとに、保育補助として働くデメリットを紹介します。
働いてから大きなギャップを感じないように、働く前にきちんと知っておくことが大切です。

できる仕事に限界がある
保育補助の仕事内容は、あくまでも保育士のサポートです。
保育に深く関わりたいという気持ちが強くなるほど、できる仕事の限界にもどかしさを感じていました。
保育に関わる仕事ができればいい、残業がない環境で自由に楽しく働きたいという方は、あまりデメリットに感じない部分かもしれません。
給料が低い
保育士の給料が低いという意見をよく耳にしますが、保育補助の時給も決して高くはありません。
有給のない状態で休みをとると、その分給料が減ってしまいます。

1日中動きっぱなしのときも多いので、仕事量に見合っていないと感じる方も多いです。
子どもと深く関われない
保育補助は、人手が足りていないクラスのサポートが中心です。
0歳児~5歳児クラスの子どもたちに関われる反面、一人ひとりと深く関わることが難しくなります。
子どもたちとしっかり向き合う保育がしたいと思ったら、保育士の資格を取得してクラス担任になるほうがよいでしょう。
ただ、絶対に深く関われないということではありません。
特定のクラスの補助を固定で担当した場合や、早番や遅番のときにいつもいる子とは、自然と関わる機会も多くなります。

色々なクラスの補助をできるのは楽しいですが、名前をすぐに覚えてもらえないのも少し悲しいところです。
まとめ:保育士の資格がないなら保育補助から始めてみよう

保育補助は、資格なしで働けるのが魅力です。
私のようにまったく保育経験のない方だと不安が大きいかもしれませんが、何よりも「子どもが好き」という気持ちが大切。
担任を受けもつ保育士にとって保育補助のサポートは大きく、なくてはならない存在です。
- 子どもが好き
- 保育士になろうか悩んでいる
- 笑顔で楽しく仕事がしたい
上記のような方に保育補助の仕事はおすすめ。
保育士になってからイメージとのギャップを感じる方も多いので、自分に向いているか不安であれば保育補助から始めてみましょう。

体力的につらいときもありますが、やりがいや楽しさがたくさんあります。


