
元看護師のライター、くれやサチです。
看護師として約5年、病棟勤務をしていました。急性期〜慢性期リハビリ病院での経験があります。担当経験のある部署は、整形外科・眼科・耳鼻科・血液内科。院内では、褥瘡委員として患者様の褥瘡ケア管理にも携わりました。
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看護師は、医師のサポートや患者さんの療養上のお世話が主な仕事です。
働く場所によっても求められる業務が異なるため、細分化すると仕事内容は多岐にわたります。
この記事では私自身の実体験をもとに、看護師の仕事内容をわかりやすくまとめました。
救急病院の整形外科病棟と慢性期病院での勤務経験があるため、それぞれの1日の流れも細かく紹介します。

どのような仕事があるのか、ぜひイメージしてみてください。

看護師の主な仕事内容をわかりやすく紹介

看護師の主な仕事は「医師の診療補助」と「療養上のお世話」です。
それ以外にも委員会活動などがあり、仕事内容は多岐にわたります。
病院の規模や診療科目などによって看護師の役割に違いはありますが、こちらでは一般的な仕事内容についてわかりやすく紹介します。

医師の診療補助
看護師の仕事といえば、注射や投薬をイメージする方も多いのではないでしょうか?
看護師が行う注射は医師から指示をもらっているもので、診療の補助にあたります。
医師の診療補助は、看護師の役割の中でも重要なものです。
ここでは、医師の診療補助にあたる以下の仕事内容について、具体的に紹介します。
- 体温・血圧などのバイタル測定
- 点滴
- 処置の補助
- 採血
体温・血圧などのバイタル測定
バイタルとは、バイタルサインの略称です。
バイタルサインは「生命の兆候」という意味をもつ言葉で、体温・血圧・脈拍・呼吸・尿量のことを指します。
患者さんの状態を知る重要な指標になり、業務開始とともにバイタルサインの測定から始めるのが通常です。
バイタルサインに異常があれば、医師に報告して指示を仰ぎ、内服薬や点滴などの処置を施します。
点滴
点滴は、医師の指示を受けてから薬剤師が点滴薬を用意し、看護師が確認を行ってから患者さんに投与します。
点滴のミスは重大な事故につながりかねないため、準備をする際は必ずダブルチェックを行なうのがルールです。
処置の補助
私が勤務していた整形外科病棟では、毎日、医師が行う処置の補助をしていました。
医師が傷の確認や消毒をしやすいように、包帯やガーゼなどの準備をします。
ときにはベッドサイドで麻酔をかけて、皮膚を切開するような大がかりな処置もありました。
採血
病気の診断や、治療方針を決めるためには採血が必要です。
救急病院で働いていたときは、毎日のように採血や注射を行っていました。

採血は看護師にとって必須技術となります。
患者さんの療養上のお世話
患者さんの療養上のお世話は、病気や治療に直接関係はなくとも、健康なときと同じような生活を行っていただくために必要な技術です。
療養上のお世話にあたる以下の仕事内容について、具体的にどのようなことをしているのか紹介します。
- 食事の介助
- 口腔ケアの解除
- 排泄の介助
- 車いすへの移乗介助
- 入浴・清潔の介助
- 体位交換
すべて患者さんの健康を守る大切な仕事です。
一見簡単そうに見えるかもしれません。
しかし、体力を要する仕事も多く、なかなかスムーズにいかないこともあります。
食事の介助
自分で食事をすることが難しい患者さんの介助を行います。
嚥下機能の状態に合わせて、食事のスピードを調整することが重要です。
食事の状態を把握し、STさん(言語聴覚士)や栄養士さんと相談し、食事の形態を検討するのも看護師の大切な役割となります。
口腔ケアの介助
肺炎予防のために、口腔ケアの介助は念入りに行います。
健康なときと同じように、1日3回介助が必要です。
患者さんの状態によっては、歯科衛生士さんと連携してブラシの形態を検討したり、歯科受診につなげたりします。
ケアをしながら口腔内のチェックをし、口内炎などの症状があれば医師に報告するのも看護師の役割です。
排泄の介助
患者さんの身体レベルに合わせて排泄を介助します。
排泄行為すべてを介助するのではなく、患者さんが自分でできるところを見極め、残っている能力を活かすのも大切な看護師の仕事です。
車いすへの移乗介助
車いすへの移乗は、患者さん一人ひとりの体格や、身体能力、受傷レベルが違うため、細心の注意が必要です。
移乗の方法を間違うと、受傷部位をさらに傷つける可能性や、転倒の危険性があります。
整形外科病棟で働いていたときは、PTさん(理学療法士)と一緒に、患者さんの状態に合った移乗の方法を検討していました。
移乗介助の方法は、病棟全体で共有するほど重要なお世話になります。
入浴・清潔の介助
入院中も健康なときと同じように入浴し、清潔を保ちます。
酸素チューブや胃ろうチューブ、点滴など、さまざまなチューブがつながっていることも多く、チューブが抜けないように細心の注意を払わなければなりません。
また、入浴時は患者さんの全身の皮膚の状態を観察します。
術後の傷に軟膏を塗る処置なども必要です。
退院して自宅に戻られる患者さんには、1人で入浴できるように指導を行います。
体位交換
自分で身動きがとれない患者さんには、2時間おきに体の向きを変える「体位交換」が必要です。
点滴や酸素チューブがつながっている患者さんも多いため、介護者がペアになり、チューブ類が抜けないように確認しながら慎重に行います。

整形外科病棟で働いていた頃は、常に神経をとがらせていました。
委員会活動など
病院で働く看護師は、委員会活動に参加しなければなりません。
委員会活動とは、例えば「教育委員」「5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)委員会」「看護研究メンバー」など、病院によってさまざまな活動があります。
私は救急病院と慢性期病院での勤務経験がありますが、どちらにも委員会活動があり、絶対に参加しなければなりませんでした。
当時は「褥瘡(じょくそう)委員会」に所属しており、「褥瘡=床ずれ」について勉強していたことがあります。
学んだことを発表したり、病棟の褥瘡患者さんにアプローチして、治療経過の記録を残したりしていました。
医療は日々進化していきます。
それにともない、看護師の知識もアップデートが必要です。
委員会活動は、看護師の知識を向上させるために非常に重要なものだといえます。

クリニックなど、委員会活動がない働き方もありますが、看護師としてスキルアップしたい方は委員会活動のある病院を選びましょう。
整形外科病棟に勤務する看護師の仕事内容と1日の流れ

私自身の経験をもとに、整形外科病棟で勤務していたときの基本的な1日の流れを紹介します。
いくつかのケースに分けて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

日勤の場合
日勤は8:00〜17:00が業務時間です。
しかし、救急病院の整形外科病棟で3年間働いていて、定時で帰宅できたのはほんの数回でした。
17:00の業務終了後に、看護記録を1時間〜1時間半ほどかけて行います。
また、救急車の物品点検や、包交車(医師が処置するために必要な包帯やガーゼが入ったワゴン)の物品補充を当番制で行っていました。
大きな救急病院では勉強会も多く、業務終了後の17:00から1時間ほど勉強会に参加することもあります。

とある1日の流れを例に紹介しますので、目安として参考にしてもらえたら嬉しいです。
その日担当する患者さんの1日の予定や看護記録を確認。
毎日10分ほど行う。
看護師も交代で1時間休憩をとる。
救急車の物品点検や、包交車の物品点検・補充も行う。
夜勤の場合
私が勤務していた病院では2交代制を採用しており、夜勤は16時間勤務でした。
日勤は残業が当たり前ですが、夜勤の残業はほとんどなく、あっても30分程度です。
患者さんが眠っている時間帯ですので、昼間よりは忙しくありません。
しかし、夜勤は看護師の配置人数が少ないので、緊急時はかなり慌ただしくなります。
看護師も交代で30分ほど休憩をとる。
体位交換とオムツ交換は2時間おきに行う。
リーダーナースの場合
リーダーナースは病棟全体の流れを把握し、医師からの指示を受け、看護師に伝えてサポートをする役割があります。
患者さんの担当をしません。
一般的な看護師の仕事内容とはまったく異なるため、リーダーナースの1日を簡単に紹介します。
回診の際、内服や処置の変更があれば担当看護師に伝える。
部屋の調整、入院患者さんの担当看護師を割り振りなども行う。
フリーナースの場合
フリーナースは部屋もちナースの補助を行うため、患者さんを担当しません。
朝の情報収集は軽めにし、早めに病棟にでてラウンドを開始します。
採血や点滴、点滴の差し替え、入院受け、手術の送り出しなどのサポートが主な仕事内容です。
救急病院に勤務する看護師の仕事内容と1日の流れ
救急病院と慢性期病院の基本的な看護師の役割は同じです。
しかし、病院の役割が異なるため、看護師の仕事内容にも少し違いがあります。
まず救急病院は、手術や点滴加療が必要な方など、状態が重い患者さんが多く入院されている場所です。
私が勤務していた整形外科病棟では、手術目的で入院する患者さんがほとんどでした。
毎日のように手術があり、術前の準備や送り出し、術後の管理などがあるため、とても忙しかったのを覚えています。
手術以外でも、緊急入院や容態が不安定な患者さんも多いため、1日の業務はとてもハードです。
整形外科病棟での基本的な1日の流れは1つ前の章で説明したので、こちらでは救急病院特有の動きにポイントをおいて1日の流れを紹介します。

以下の例に沿って紹介しますので、ぜひイメージしてみてください。
例:入院1人、手術患者さん1人、退院患者さん1人を受け持った場合の1日の流れ
入院患者さんの来院時間チェックと、状態に合わせたベッドメイキングの確認も行う。
点滴の確保、着替えの手伝い、手術前の最終チェックリストを患者さんとともに確認する。
防水シーツを敷く、ベッドを温めるなど。
自動持続血圧計や酸素チューブなどの準備。
外来看護師から申し送りを聞く。
患者さんへ入院説明。
薬を把握し、医師へ確認を行う。
バイタルサインは15分後おきにチェックする。
翌日の手術患者さんの書類作成や準備もしておく。
重症部屋を担当するときは、看護師1人で4〜5人の患者さんに対応することが多かったです。
合間にナースコールの対応を行い、リハビリ室やレントゲン室への案内もしなくてはいけないため、非常に多忙でした。
また、手術の患者さんは状態が不安定ですので、痛みや発熱の訴えが多くあります。
それにともない、内服薬や注射などの対応もとても多いです。
急に状態が悪くなり、緊急の処置をすることもありました。
看護師にとってはさまざまな症例を経験できる場所です。

救急病院で働けば大きく成長できるでしょう。
慢性期回復病院に勤務する看護師の仕事内容と1日の流れ
慢性期回復病院の役割は、救急病院で治療をして状態が安定した患者さんの機能回復がメインになります。
私が勤務していた慢性期回復病院は、手術がなく、救急車もほとんど受け入れがないような病院でした。
救急病院から慢性期の病院へ転職した際には、仕事内容のギャップが大きくて驚いたほどです。
私が勤務していた病院を参考に、慢性期病院の1日の流れを要点を絞って紹介します。
合間にリハビリ室やレントゲン室への案内も行う。
慢性期回復病院では、手術がなくて入院も少ないため、救急病院よりは忙しくありません。
しかし、患者さんは回復期にあるため、トイレ誘導などのナースコールが多いなど、違った忙しさがありました。
退院後の生活に向けて看護計画を立て、実行するのも看護師の役割です。
まとめ:看護師の仕事内容や1日の流れを知り、イメージしてみよう

看護師の仕事内容は多岐にわたりますが、勤務先によっても大きく異なります。
スキルアップやキャリアアップを目指す方は、委員会活動がある病院を選択するなど、さまざまな働き方に目を向けてみましょう。
なお当サイトでは、実際に看護師経験のある方を対象にアンケート調査も行っています。
看護師のやりがい、大変なところ、嬉しかったエピソードなどをまとめた記事もありますので、看護師の仕事内容をもっと詳しくイメージしたい方はぜひそちらもご覧ください。



自分に看護師の仕事ができるか心配な方は、看護師に向いている人の特徴についてまとめた記事も読んでみてください。



