
医療事務歴約20年のライター、櫻井しおです。
産休育休を経て現在総合病院にて勤務中。複数の病院にて業務を行ってきました。約10年間、現場のマネージャーを務めた実績もあります。
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医療秘書は医師などのサポートを行う仕事です。
必要な資格はありません。
しかし、専門知識を学んで資格を取得したほうが、働くうえで有利になります。
この記事では、医療秘書の仕事内容や、医療事務との違いなどをまとめました。
資格の種類や勉強方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

私も医療秘書技能検定の2級を取得しています!

医療秘書とは?なり方や仕事内容を紹介

医療秘書は、医師や看護師の業務が円滑に進むように事務的なサポートする仕事です。
近年、医師をはじめとした医療従事者の過重労働が問題視されています。
負担が増える理由にはさまざまな要因がありますが、診療以外の業務に多くの時間がかかっているのが現状です。
特に医師の負担が多い病院では、幅広い業務をサポートする医療秘書の存在が必須となってきています。
ここでは、医療秘書になる方法や仕事内容などを紹介します。

医療秘書になるには?
医療秘書として働くうえで、必須の資格はありません。
求人を出している医療施設のなかには、学歴や資格の有無に関係なく募集しているところが多くあります。
しかし、採用や実務において、医療秘書の資格を取得しているほうが断然有利です。
秘書として必要な知識やマナーを知っておくことで、スムーズに業務を進められます。
採用する側としても安心感があるため、採用率のアップにもつながるでしょう。
医療秘書の資格にはさまざまな種類がありますが、通信講座などを活用すれば最短1か月程度で取得することが可能です。

医療事務からの転職やスキルアップ目的で目指す人も多くいます。
医療秘書の仕事内容
勤務先によって業務は異なりますが、医療秘書の主な仕事内容は以下のとおりです。
- スケジュール管理
- 備品管理
- 来客対応
- 電話・メール対応
- 宿泊先や移動交通手段の各種手配
- 医師が学会で発表するための資料作成の補佐
- 学会会場への同行、外部対応、発表の準備
医師が診療に専念できるように、さまざまなサポートをしています。
ほかにも、受付での患者さんへの応対やレセプト業務、行政上の届出・報告も医療秘書の仕事の一部です。
秘書業務のほかに、事務や保険請求業務、情報管理業務などにも対応するため、仕事内容は多岐にわたります。
ちなみに大学病院では「医局秘書」と呼ばれ、医師の集まる組織である医局全体をサポートするのが主な仕事です。
医局秘書の人数は多くても4〜5名ほど。
1人で複数の医師を担当することになります。
なかでも専属の秘書を雇用していることが多いのは、院内外の業務に多忙な病院長や診療部長です。
また、クリニックや中小規模の病院では医療事務の仕事まで兼務することがあり、厳密に業務が分けられていません。
外来患者や入院患者の受付、病室の手配、診療報酬請求に関連した業務など、医療事務が行う仕事を秘書業務と並行して行う場合があります。
医療秘書の給料
医療秘書の給料は、雇用形態や勤務する医療機関によって変わってきます。
病院の経営が安定している総合病院の場合は、正社員で月収15〜25万円ほどが平均です。
パートや派遣になると、時給1,000円〜1,500円ほどになります。
医療機関の規模や地域、個人の学歴や資格有無など、さまざまな条件で給料は大きく変わるため、事前に求人をよく確認しておきましょう。
医療秘書の求人の探し方
医療秘書としての求人を出している病院やクリニックを探し、応募することで働くチャンスがあります。
ただし医療秘書という名称はあまり認知されていないことも多く、以下のような名称で求人が出ているケースも多いです。
- メディカルコンシェルジュ
- 医療事務
- 医局秘書
- メディカルクラーク
業務内容が明確に分かれていない場合もあるので、求人に記載されている仕事内容を必ず確認しましょう。
大学病院などの大規模な病院での募集が多いですが、最近ではクリニックでの求人も増えています。
ただし、仕事内容は「医療事務+秘書業務」であることが多く、兼務しているのが現状です。
医療秘書の業務だけを希望する場合はなるべく中規模以上の病院の求人をチェックし、仕事内容をよく確認しておきましょう。
医療秘書と医療事務の違い
名前が似ている医療秘書と医療事務ですが、仕事内容や役割が異なります。
ここでは、仕事内容や給料などの違いを見ていきましょう。

仕事内容の違い
冒頭でも説明しましたが、医療秘書の主な仕事内容は医師が診療や治療に専念できるようにサポートすることです。
病院長や医局の秘書として、スケジュール管理や来客の対応をします。
また、医療秘書は取引先やマスコミなどの人たちと接する機会も多いのが特徴です。
医師の学会の準備を担うこともあります。
対して医療事務は、医療機関における患者さんに関する事務作業が主な仕事になります。
具体的には受付や医療費の計算、保険請求事務などです。
大きく分類すると、以下のような業務に対応します。
- 受付業務
- 会計業務
- 診療報酬請求業務
- 外来クラーク業務
- 病棟クラーク業務
医療事務の具体的な仕事内容は以下の記事で紹介しているので、あわせてご確認ください。

なお、小規模の病院やクリニックでは、医療秘書と医療事務の仕事が明確に分けられていないことがほとんどです。
医療秘書は医療事務の基本的な仕事内容のほかに、秘書業務や情報管理などの業務に対応します。
働く場所によって仕事の対応範囲が異なるため、注意が必要です。

求人に応募する際に、業務の範囲をきちんと確認しておきましょう。
給料の違い
医療秘書と医療事務では、医療秘書のほうが給料が高い傾向にあります。
医療秘書業務の専門性が高いことや、比較的経営が安定している病院が医療秘書を雇用していることが大きな理由として挙げられるでしょう。
クリニックで医療秘書として働く場合は医療事務の仕事も兼ねていることが多いため、その分給与も高くなります。
勤務する地域や雇用形態によっての違いはありますが、月に1〜3万円ほど差が出るでしょう。
求人の違い
求人数は医療事務のほうが圧倒的に多く出ています。
医療秘書の求人の探し方の部分でも書きましたが、医療秘書は異なる名称で募集されていることもあるため、探すときに試してみてください。
医療秘書としてがっつり働きたいのか、医療事務と兼任して仕事をしたいのかによっても選ぶべき場所が変わってきます。

働いてから後悔しないように、自分のやりたいことをある程度決めておきましょう。
医療秘書資格の主な種類を紹介

医療秘書の資格にはさまざまな種類があります。
取得方法や得られる知識を確認し、自分に適した資格を選ぶことが大切です。
ここでは、比較的メジャーな医療秘書資格をピックアップして紹介します。

1:医療秘書技能検定試験
主催 | 一般社団法人 医療秘書教育全国協議会 |
合格率 | 非公開 |
試験日程 | 年2回 |
(税込) | 受験料1級:6,500円 準1級:5,800円 2級:5,100円 3級:4,000円 ※一般受験の場合 |
合格基準 | 3つの領域の合計が180点以上ある者のうち、各60%以上 |
受験方法 | 会場受験 |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
医療秘書技能検定は、医療秘書に必要な専門知識と技能を認定する試験です。
受験資格がなく、誰でも受験できます。
医療秘書の資格の中でもっともメジャーであり、幅広い知識を学べるのが特徴です。

私も2級まで取得しています。
合格率は公開されていませんが、3級は難しくありません。
これから医療秘書に挑戦する方に向いている資格といえます。
準1級から難易度が大きく上がりますが、合格すれば高度な知識と技能の習得が可能です。
テキストはAmazonなどで購入できます。
2:2級医療秘書実務能力認定試験
主催 | 全国医療福祉教育協会 |
合格率 | 60~80%(参考) |
試験日程 | 年3回 |
(税込) | 受験料一般:7,700円 団体:7,200円 |
合格基準 | 各試験で60%以上 ※難易度によって変動あり |
受験方法 | 在宅受験 会場受験(団体の場合) |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
2級医療秘書実務能力認定試験は、医学基礎や関連法規に関する知識、患者接遇や院内コミュニケーション能力を含めた医療秘書実務能力を学ぶ資格です。
「医療秘書実務能力試験」という名称ですが、内容はほかの医療事務試験とほぼ同じように感じます。
全体的に見て秘書に関する部分は少ない印象を受けました。
テキストはAmazonなどで購入できます。

3:JADP認定 医療秘書資格
主催 | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
合格率 | 非公開 |
試験日程 | 随時 |
(税込) | 受験料5,600円 |
合格基準 | 70%以上 |
受験方法 | 在宅受験 |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
JADP認定 医療秘書資格は、通信講座の「キャリカレ/医療秘書講座」で取得可能な医療秘書資格です。
医療機関での受付業務や接遇、院内コミュニケーション、秘書業務に関する職業能力など、医療事務と秘書業務の知識を幅広く学べます。
キャリカレのカリキュラムを修了することで受験資格を得られ、自分のタイミングで在宅受験できるのが特徴です。
なお当サイトでは、実際にキャリカレで医療秘書資格を取得した方の体験談を聞いています。
あわせて参考にしてみてください。
現在作成中
4:医療秘書情報実務能力検定試験
主催 | 特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会 |
合格率 | 1級:58.4% 2級:61.8%(参考) |
試験日程 | 教育指定校および団体受験 |
(税込) | 受験料1級:8,700円 2級:7,700円 |
合格基準 | 実施回ごとの受験者偏差値55以上または80%以上 |
受験方法 | 団体受験 |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
医療秘書情報実務能力検定試験は、2018年4月から一般受験がなくなってしまいました。
現在は教育指定校および団体受験での受験のみ可能です。
合格すると「医療秘書実務管理士」の称号を得ることができます。
合格率は1級・2級ともに60%前後で、ほかの秘書試験と比較すると難易度がやや高め。
医療事務の範囲(レセプト作成、医療関連法規、医療制度、医学の知識)に加え、医療機関における接遇マナーなどの秘書業務についても出題されます。
試験内容が充実しているため、受験できる環境にいるならおすすめの資格です。
2級に合格すると、1級の受検資格を得られます。

一般受験ができなくなってしまったのが残念なところです。
5:日本医師会認定 医療秘書
主催 | 日本医師会 |
合格率 | 87.5%(参考:2023年) |
試験日程 | 年1回 |
(税込) | 受験料非公開 |
合格基準 | 非公開 |
受験方法 | 会場受験 |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
日本医師会が認定する医療秘書資格です。
資格を取得するためには、日本医師会が認定した養成機関でカリキュラムを修了する必要があります。
さらに、規定の秘書技能科目(秘書検定、情報処理、保険請求事務など)を受験し、3種類合格しなければなりません。
なお、養成機関は通信制(2年間)と全日制(1年間)があります。
道のりが長いため、この資格を取得する場合は覚悟が必要です。
日本医師会の認定資格であるため、信頼できる資格であることは間違いありません。
医療秘書資格を独学で取得するポイント

医療秘書は独学でも取得可能です。
医療事務の経験や資格があれば、独学でも問題なく合格を目指せるでしょう。
医療秘書技能検定試験や2級医療秘書実務能力認定試験は、Amazonや楽天でテキストを購入できます。
医療秘書技能検定試験
2級医療秘書実務能力認定試験


独学で医療秘書資格の取得を目指すなら、医療秘書技能検定3級から挑戦するのが個人的におすすめです。
通信講座で医療秘書資格を取得できるのはキャリカレだけ

資格名 | JADP認定 医療秘書資格 |
(税込) | 受講費用39,150円 ※キャンペーンによる変動あり |
標準学習期間 | 3か月 |
サポート期間 | 700日間 |
添削課題 | 3回 |
質問 | 何度でも質問可能 |
就職サポート | あり |
資料請求 | できる:公式サイト |
独学では不安がある方や、カリキュラムに沿って効率よく学びたい方は、通信講座の受講が合格への近道です。
資格のキャリカレで受講できる「JADP認定 医療秘書資格」を検討しましょう。
医療秘書講座のカリキュラムを修了することで、受験資格を得られます。
通信講座なら必要な教材がまとまっているのも嬉しいポイント。
わかりやすい動画講義で理解を深めながら知識を身につけられます。

資料請求は無料なので、気になる方は取り寄せてみましょう。

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医療秘書に向いている人の特徴

サポート業務が得意である人ほど、医療秘書に向いているでしょう。
さまざまな職種の人と関わるため、特に求められるのは高いコミュニケーション能力です。
また、気遣いや気配りができ、自分から率先して仕事ができる人のほうが医療秘書に向いています。
医師などから指示をされる前に自発的に行動できる人は、非常に有能な秘書になれるでしょう。
医療事務からステップアップしたい人にも医療秘書はおすすめ
医療秘書は、医療事務からのステップアップとして目指す人が多い仕事です。
実際に私の周りで医療秘書に転職した人の中には、以下のような方がいました。
- 医療事務よりも幅広く仕事をしたい
- 院内外の多職種の人とも関わりたい
- 医師のために働きたい
- 少しでも収入を増やしたい
医療秘書は医療事務よりも医師に近い存在であり、業務もサポートがメインになります。
医療事務としてデータ管理や資料作成などを行った経験を活かすことが可能です。

私は逆にずっと医療事務をしていますが、医療秘書で学んだ知識を活かせる場面もあります。
まとめ:医療秘書の仕事内容を理解し、資格取得で必要な知識を身につけよう

医療秘書に必要な資格はありません。
しかし専門的な知識を要するため、採用率を高めてスムーズ仕事を進めたいなら資格取得がおすすめです。
また、医療秘書の仕事内容は多岐にわたります。
勤務先によって業務の対応範囲が異なるため、求人を探すときには注意が必要です。
医療秘書としてがっつり働きたいなら、比較的大きい総合病院や大学病院を選ぶとよいでしょう。

ぜひチャレンジしてみてください!


