
医療事務歴約20年のライター、櫻井しおです。
産休育休を経て現在総合病院にて勤務中。複数の病院にて業務を行ってきました。約10年間、現場のマネージャーを務めた実績もあります。
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医療事務はやりがいや魅力が多い仕事ですが、ときには人間関係で深く悩むこともあります。
それが原因で辞めてしまう方も少なくありません。
そこで当サイトでは、医療事務の本音をリサーチするために独自アンケート調査を行いました。
この記事では、医療事務経験がある10人に聞いた「人間関係が最悪だと感じたエピソード」を紹介します。

看護師との関係性や人間関係で病んだときの対処法も紹介していますので、少しでも悩みの解決につながれば幸いです。


【10人聞いた】医療事務をしていて人間関係が最悪と感じたエピソード
医療事務経験がある10人の、人間関係が最悪だと感じたエピソードを紹介します。

アンケート調査は「クラウドワークス」にて行い、以下の項目に回答していただきました。
- 医療事務歴
- 人間関係が最悪だと感じたエピソード
- そのときの対策
1:先輩たちから嫌がらせを受けて職場を離れた

1人目は、たーもさん(20代女性)です。
2:同期に誤解されて職場で嫌がらせを受けた

2人目は、さもさん(20代女性)です。
3:指導係の男性に話しかけていじめを受けた

3人目は、さちょさん(20代女性)です。
4:バカにした発言や態度をされるのが当たり前

4人目は、ぴーかさん(20代女性)です。
5:使えないと思ったら辞めるように仕向ける職場

5人目は、ななさん(30代女性)です。
6:当直ができず男性職員との折り合いが悪かった

6人目は、まーちゃんさん(40代男性)です。
7:医療事務以外の仕事をさせられて嫌味を言われた

7人目は、akaneさん(40代女性)です。
8:不倫が横行している職場だった

8人目は、零一二さん(40代女性)です。
9:どの職場でも人間関係の不満は感じてきた

9人目は、まいさん(30代女性)です。
10:正社員が派遣に対してきつく当たってくる

10人目は、yumyummyさん(40代女性)です。

【私の体験談】医療事務の人間関係が最悪だと感じたエピソード

ここでは、私自身が働くなかで人間関係が最悪だと感じたエピソードを紹介します。
マネージャーという立場上、人間関係で相談を受けることも多くありました。
立場の違いなど、いくつかのケースに分けて紹介します。

看護師による責任転嫁
看護師との人間関係で悩む医療事務からは、以下のような相談があります。
- 強い口調でミスを注意される
- 看護師の仕事を押し付けられる
- ミスを医療事務のせいにされる
- 見下した発言や態度を取られる
私自身も中規模病院に勤務していたときに、看護師との人間関係に悩んだことがありました。
医療事務は看護師に強く言うことができません。
それをいいことに、本来医療事務の仕事ではないことまで押し付けられるようになりました。
ときには看護師の対応に誤りがあって入ったクレームも、”事務のミス”として責任転嫁されることもあります。
医療事務に対して必要以上に干渉してくる看護師も多く、仕事がやりづらいと感じていました。

看護師長の異動によって関係が改善しましたが、上司の態度や考え方によって雰囲気が大きく変わることを実感しました。
後輩に嫌がらせをする先輩
先輩から後輩への嫌がらせとしてよく相談されたのは、以下の内容です。
- 職場内で孤立させる
- 無視をする
- 仕事を教えない
- 患者さんの前での叱責する
- あいさつを返さない
経験上、スタッフが定着しない職場は人間関係が原因であることがほとんどです。
加害者側を注意したり、異動を促したりしても、ほとんど応じてもらえません。
最終的に被害にあっている方が退職を選択します。

今回のアンケート調査でも、同様の悩みを抱えている方が多くいました。
上司から部下へのパワハラ
私が働き始めたばかりの頃、特定のスタッフに冷たく当たったり、自分の好き嫌いで対応している上司がいました。
お気に入りのスタッフには笑顔で接して、業務を手伝うこともあります。
しかし嫌いなスタッフにはあからさまに冷たくし、人前で叱責していることもありました。
- 自分のミスを部下のせいにする
- 特定のスタッフの休暇希望は受け付けない
- 人格を否定する発言をする
このような上司のもとでは、いい人間関係は築けないでしょう。
新人の頃の私は、嫌われないように、目を付けられないように働くことに必死でした。

正直、上司にパワハラともとれる対応をされたら、今の私でも仕事を続ける自信はありません。
年下上司からの嫌味
中途採用のスタッフから、年下上司からの嫌味に関する相談を受けたことがあります。
特に、パート社員や時短勤務社員が被害を受けやすい傾向です。
20代後半〜30代でリーダー職についた「上司」と、30代〜50代のパート社員や時短勤務社員の「部下」の関係は、難しい部分があるのが現状です。
- これだからパートは使えない
- 子供のいる人はすぐ休めていいね
- 私より経験年数が長いのに、なんで仕事覚えるのが遅いの?
- 時短スタッフの残った仕事を、どうして私がやらなきゃいけないの?
このような嫌味を言われ、耐えられずに辞めたスタッフもいました。
パート社員や時短勤務社員は、決められた時間で帰る必要があります。
仕事が途中のまま帰るのも、多くの仕事を任せられないのも、仕方のないことです。
子供の体調不良などでたびたび休むこともあるでしょう。

働きやすさを重視して医療事務になっても、職場選びを間違えるとつらい思いをする可能性があります。
病院職員から派遣社員へのパワハラ
意外に多いのが、病院職員から派遣として働く医療事務へのパワハラです。
派遣社員はどうしても立場が下に見られがちであるため、強めな発言をする方が多くいます。
- 次はほかの会社と契約しようかな
- こんな使えない人はいらない
- 前の派遣さんはこの業務やってましたよ?
上記のように、契約の打ち切りをちらつかせる発言はよく聞きました。
また、病院職員のミスを派遣社員に責任転嫁することもありました。
- 売上金(診療費)が合わないのを派遣社員のミスとして報告する
- 病院の印鑑の紛失を責任転嫁するために、派遣社員が使用していた机の引き出しから発見したことにする
ひどい話ですが、私が過去に働いていた職場で実際にあったことです。

病院職員に対しても不信感しか感じられず、人間関係が最悪な職場でした。
看護師は医療事務を見下しがち?元看護師から聞いた本音

医療事務と看護師は人間関係が悪いと思われがちです。
看護師との関係に悩む相談を受けることもありますが、どの医療機関でもトラブルがあるわけではありません。
私には職場で出会った仲の良い看護師の友人がいます。
その友人に看護師側の本音などを聞いてみました。

医療事務と看護師は仲が悪いって本当?
結論からいうと、医療事務と看護師との人間関係は「問題なし」あるいは「良好」な職場が大半です。
今まで複数の医療機関で働きましたが、”医療事務と看護師だから”ではなく、職場の雰囲気や上司の対応などによって人間関係が変わってくると感じています。
私が仲良くなった看護師の友人は、10年以上のキャリアがある人でした。
しかし、看護師の人間関係に嫌気がさして退職。
彼女は医療事務のスタッフと仲が良かったのですが、ほかの看護師が医療事務を見下して接しているのが嫌だったそうです。

医療事務と良好な関係を築こうとしてくれる看護師もたくさんいます。
医療事務を見下す看護師がいる理由
私の友人は「看護師は“自分より立場が低い”と考えている医療事務に当たることで、ストレスを発散させている人が多い」と言います。
看護師免許を取るための努力や業務の大変さを考えると、看護師としての高いプライドがあるのは当然です。
資格がなくても働ける医療事務と国家資格を有する看護師には、知識や経験に大きな差があります。
それが「医療事務のほうが立場が低い」と感じさせている原因でもあるでしょう。
また、上司や先輩からのストレスを感じやすい人ほど、ほかの人に対して攻撃的になる傾向があります。
当サイトでは看護師の人間関係についてもアンケート調査を行っていますが、職場によってはかなり複雑です。
ストレスを発散させるために、医療事務はちょうどいい存在であると思われてしまうことが多いのでしょう。
「看護師だから」ではなく、最悪な人間関係を放置している管理者や上司の問題です。

私も複数の医療機関で働くなかで、職場によって雰囲気の違いをかなり感じました。
医療事務の人間関係に悩んだときの対処法

医療事務の仕事は1人ではできません。
人間関係が良くないと、業務が効率よく回らなくなってしまいます。
ここでは人間関係に悩んだときの対処法を紹介しますので、悩みの解決につながれば嬉しいです。

社会人としてのマナーは守る
私の経験上、雰囲気が良くないと感じる職場では、挨拶が少ない印象があります。
「おはようございます」「お疲れさまでした」など、挨拶はコミュニケーションの基本です。
どんなに苦手な相手でも必ず挨拶をし、社会人としてのマナーを守るようにしましょう。
また、仕事上でのコミュニケーションとして、謝罪やお礼を言葉で相手に伝えることを怠ってはいけません。
さらに社会人としてのルールとして、時間や身だしなみを守ることも大切です。
相手を気にしすぎないようにする
職場は仲が良い人だけが集まる場所ではありません。
苦手な相手と仲良くしようとする必要もありません。
仕事に影響が出ないように最低限のコミュニケーションをとり、相手のことを気にしすぎないようにしましょう。
- 職場の人と仲良くしなければいけない
- 苦手でも付き合わなければいけない
- いつか相手に受け入れてもらえるかもしれない
人間関係で悩む人の多くは、上記のように考える傾向があります。
人間関係が最悪な職場では「人は変わらないものだ」と心得て、自分の意識を変えるほうが簡単なことです。
合わない人と距離を置く
合わないと感じる人とは、適切な距離を置くことも自分を守る対処法です。
- プライベートをしつこく聞いてくる
- 悪口や噂話が多い
- 自分の考えを押し付けてくる
そんな人がいたら、距離を置いて関わりを少なくしましょう。
特に悪口や噂話が多い人と近くにいると、周囲から自分も一員だと認識され、信用を失うこともあります。
悪口や噂話には参加せず、さりげなくその場を離れるようにしましょう。
信頼できる人に相談する
職場で信頼できる人や、家族・友人に悩んでいることを相談してみましょう。
悩んでいることを話してみると、問題を客観視できるメリットがあります。
自分では気づけなかった解決法が見つかるかもしれません。
話すことで気持ちが楽になり、自分がこれからどうしたいか、どうしたらよいかを考えるきっかけにもなるでしょう。
周りに相談できる人がいなければ、カウンセラーや公的な相談窓口を活用するのもおすすめです。
大切なのは、1人で考え続けないこと。

周りに相談できない人ほど、自分を追い込んでしまいがちです。
プライベートでリフレッシュする
職場での人間関係に悩むと、常に頭の中が仕事のことでいっぱいになってしまいます。
悩んだときの対処法として1番良いのが「仕事から離れること」です。
プライベートを楽しみ、リフレッシュすることで気持ちの切り替えがしやすくなります。
自分が夢中になれる趣味を見つけられるのが理想です。
趣味がなくても、家族や友人と出かけるだけでリフレッシュになるかもしれません。

思い詰めている状態なら、あえて遠出をして自然を楽しむのもおすすめです。
立場の違いを理解する
特に医師や看護師との人間関係に悩んだときは、立場の違いを理解することも対処法の1つです。
医師や看護師は、資格を得るために時間をかけて勉強をしています。
患者さんの命に直接関わっている責任感とプレッシャーから、強く当たってしまうこともあるのです。
残念ながら、職種の違いによる差を埋めることはできません。
しかし日頃の仕事のやり方次第で、関係性が良くなる可能性はあります。
- 医療事務として責任感をもって業務を行う
- 正確で迅速な処理を心がける
- 看護師に協力できることは積極的に行う
看護師と医療事務の仕事は連携しているため、ミスによって迷惑をかけほど人間関係の悪化につながる恐れがあります。
まずはきちんと自分の仕事をし、相手を思いやる気持ちをもつことが大切です。
転職や退職を検討する
人間関係が最悪な職場で頑張るのは限界があります。
体調不良や精神的な苦痛で働くことが難しくなっているのであれば、職場を変えるべきです。

私も転職をしていますが、決して悪いことではありません。
責任感が強い人ほど「仕事を簡単に辞めてはいけない」と考えがちですが、それは間違った判断です。
個人的には、過度ないじめやパワハラが存在する職場は退職一択だと考えます。
さまざまなサイトで求人をチェックし、募集先の口コミも見ておきましょう。
「受付の対応が悪い」など、悪い口コミがある医療機関ほど、人間関係が最悪なケースが多いです。
また、派遣会社や大規模病院に所属している場合は、異動や配置転換を申し出る選択肢もあります。
特定の人との関わりで悩む方は、場所を変えるだけで悩みから解放されるかもしれません。

今までのキャリアを継続できるため、退職や転職に比べてリスクは少なくなります。
まとめ:人間関係に悩んで医療事務を辞めたいと考える方へ

もし今「なんとなく嫌だけど我慢できる範囲」なのであれば、勢いで辞めるのはよくありません。
特に1年未満の方は、転職時の面接で理由を聞かれる可能性があります。
実際に私自身もマネージャーの立場として、採用面接の際に注意して見ていた部分です。

1年未満で辞めた方には、必ず退職理由を聞いていました。
もちろん、我慢の限界になる前に解決策を見つけることが大切です。
病院やクリニックでの仕事に限らず、薬局や歯科に絞った働き方などもあります。
自分に適した職場が見つけられるように、さまざまな働き方に目を向けてみましょう。

なお当サイトでは、医療事務を対象に以下のようなアンケート調査も行っています。




医療事務の仕事についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひほかの記事も参考にしてみてください。

働いてからギャップを感じないためにも、良いところ、悪いところの両方を知っておくことが大切です。


