
医療事務歴約20年のライター、櫻井しおです。
産休育休を経て現在総合病院にて勤務中。複数の病院にて業務を行ってきました。約10年間、現場のマネージャーを務めた実績もあります。
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医療事務は女性が多い職場であると思われがちですが、医療機関によっては男性が2~5割ほどを占めるところもあります。
男性も医療事務として活躍中です。
この記事では、医療事務の採用担当をしていた私の経験をもとに、以下について詳しくまとめています。
- 男性と女性の仕事内容の違い
- 採用したくなる男性の特徴
- 男性が医療事務として働くメリット・デメリット

男性も安心して働いてほしいので、ぜひ最後までご覧ください。

医療事務現場における男性の割合
患者さんから見える場所で業務を行うのは、ほぼ女性の医療事務スタッフです。
そのため、医療事務は女性の職場であるイメージが強くもたれています。
しかし実際は男性のスタッフも多く、裏方で働く医療事務は男性のほうが多いところもあります。
ちなみに私が勤務していた規模の大きな病院では、医療事務に携わる約2割が男性スタッフです。
医療機関によってばらつきが大きく、女性スタッフとの割合が5:5に近い病院もあります。
医療機関の規模が大きくなるほど業務が多様化するため、女性では対応しづらい面をカバーできるのが男性スタッフの存在です。

逆にクリニックの場合は、男性スタッフがまったくいないか、いても1人くらいになります。
男性と女性の仕事内容の違い

男性が行う医療事務の仕事内容も、基本的には女性と同じです。
しかし、なかには男性ならではの業務もあります。
- 夜間当直業務
- 日直業務
- 管理職業務 など
規模の大きい医療機関であるほど、男性スタッフの需要が大きくなります。
男性の医療事務員に期待すること

私が長年医療事務として働くなかで感じた、男性医療事務員に期待することを紹介します。
以下のような対応ができる方ほど、良い評価を得られるでしょう。

クレームへの対応
窓口にいる医療事務スタッフが女性のみだと、理不尽なクレームを言ってくる患者さんが多くなる傾向があります。
そのようなときに、積極的に対応できる男性であることが望ましいです。
働くスタッフにとって、患者さんからの理不尽なクレームは最大のストレスになります。
男性のスタッフがいることで、そういった問題への改善が期待できるのです。
また、男性スタッフの存在が心理的な安心感につながり、結果的に女性スタッフの離職率を下げることも期待できます。
長期的な勤務
長期的な勤務を希望する男性であるほど、病院側は採用しやすくなります。
できれば面接の段階で、キャリアアップまで考えていることを伝えられるとベストです。
ちなみに女性の場合は、結婚や出産などを理由に退職する可能性があります。
男性はそういった心配がないため、女性よりもキャリアアップを期待できるでしょう。
夜間勤務への対応
24時間体制の大きな医療機関では、医療事務が交代制で働いているケースがほとんどです。
夜間勤務ができる男性は優遇されます。
もちろん女性でも夜間勤務はできますが、安全面を考慮して「男性に入ってもらうほうが安心」と考えるところは多いです。
力仕事への積極性
医療機関では、予期せぬ事態が起こることがよくあります。
患者さんの搬送など、力仕事を手伝う場面も多いです。
総合病院などの広い医療機関ほど、そういった場面に遭遇する機会が多くなるでしょう。
力を必要とする場面で、積極的に協力できる姿勢がある男性だと嬉しいです。
残業や休日出勤への対応
医療事務はさまざまな勤務形態で働けることから、女性は”働きやすさ”を重視している方が多くいます。
残業や休日出勤ができない女性も多いです。
医療事務の仕事は、レセプト業務がある月初がとても忙しく、残業が必要になることもあります。
残業や休日出勤をカバーできる男性の存在が必要です。
リーダー職や管理職候補としての成長
男性にはリーダー職や管理職候補として成長してもらい、現場の責任者になってもらうことを期待しています。
なぜなら病院を相手に意見や交渉をするには、男性のほうが円滑に進むことが多くあるからです。
また、男性が責任者として社員のマネジメントを行うことで、職場の雰囲気も引き締まります。
女性の多い職場ではさまざまなトラブルが起こりやすいため、男性が現場をまとめることで離職率の低下にもつながるでしょう。

男性は相談役としても心強い存在です。
私が医療事務として”即採用”したくなる男性の特徴

私が採用担当をしていたときに、履歴書や面接時に判断していた「即採用」のポイントを紹介します。
どのような特徴がある男性だと好ましいのか、ぜひ参考にしてみてください。

受け答えが明るくて穏やか
医療事務として長く仕事を続け、昇格している男性の多くが、明るく穏やかな話し方をします。
医療事務はさまざまな方とのやり取りが必要な仕事です。
- 患者さん
- 患者さんのご家族
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 理学療法士 など
特に女性と関わることが多くなるため、コミュニケーションがきちんとできそうかを面接で重視します。

話し方が好印象だとポイントが高いです。
パソコンのスキルがある
医療事務として働く以上、パソコンスキルは必須です。
将来的に男性には、管理職やマネジメントなどを行ってもらうことを期待しています。
資料を作成したり、報告書を作成したりという、ビジネス要素を含んだスキルや経験がある方が望ましいです。
病院によっては、マニュアルの作成やデータ管理、更新、資料作成などをパソコンを使用せずに行っているところもあります。

業務を効率化できるスキルがあると嬉しいです。
医療・福祉関連の資格や経験がある
意外にも男性からの応募で多いのが、医療系の資格や福祉施設での勤務経験がある方です。
医療の知識がある方や、高齢者への対応に慣れている方は、医療事務の現場でも活躍できる場面が多くあります。
リーダー職の経験がある
面接時には、前職でどのような仕事をしてきたかを聞くようにしています。
リーダー職や責任者の立場を経験されている方は、採用へのポイントが高いです。
男性職員には、最終的にマネジメントができる人材を求めています。
リーダー職の経験がある方は、履歴書や面接時に積極的にアピールしましょう。
医療事務での将来のビジョンが明確
将来のビジョンを聞いたときに、長期的に働く意欲がある方や、将来的に目指す部署やポジションがある方ほど、採用へのポイントが高くなります。
面接をしていて多いのが「なんとなく応募してきた」という方です。
「次のやりたいことが見つかるまでの間、夜間事務当直をしようと思った」と、正直に言う方もいます。
このような方を採用してしまうと、きちんと仕事を覚えなかったり、短期間で辞めていったりする可能性が高くなるため、採用を見送ることが多いです。

志望理由を正直に伝えることは大切ですが、誰でも簡単にできる仕事ではありません。
男性が医療事務として働くメリット
男性が医療事務として働く大きなメリットは、キャリアアップを目指しやすいことです。
その理由として、正社員として働く女性が少ないことが挙げられます。
医療事務は女性に人気のある職業です。
しかし働きやすさを重視し、子育てと両立しながらパートやアルバイト、派遣社員で働く方がほとんどです。
そのため、医療事務は男性のほうがキャリアアップしやすい職業だといえます。

男性は総合病院や大学病院といった、大規模な医療機関を狙いましょう。
男性が医療事務として働くデメリット
男性が医療事務として働くデメリットは2つあります。
- 給与が低い
- 女性との出会いは期待できない
医療事務は高収入を得られる仕事ではありません。
基本的には、女性と同じ給与システムです。
医療機関によって待遇は異なりますが、家計を支える立場の男性にとっては、給与面で不安や物足りなさを感じる可能性があるでしょう。

将来的に管理職になったり、専門的な資格を取得したりすることで昇給につながります。
また、医療事務は女性が多い職場ですが、出会いを期待するのはやめたほうがいいです。
それには以下のような理由があります。
- 結婚している女性が多いから
- 高収入でないとわかっているから
- 夜勤があると生活リズムが合わないから
私自身、今まで複数の医療機関で勤務してきましたが、医療事務員同士でお付き合いや結婚をした人はかなり少ないです。
病院内で出会って結婚をした女性の医療事務員もいますが、相手は「男性看護師」「放射線技師」などの医療スタッフでした。
医療事務員同士の出会いがまったくないわけではありません。
お付き合いや結婚まで発展することも、少数ですがあります。
それはキャリアアップをして病院の管理職になった男性や、医療事務の経験を活かしてコンサルや医療SEに転職した男性です。

女性との出会いがあっても、男性にキャリアアップ思考や努力がないと、結婚につなげるのは難しいでしょう。
まとめ:医療事務は男性でもなれる!必要性を理解し、向上する気持ちが大切

医療事務の現場では男性も活躍しています。
男性はリーダー職や管理職候補として期待されているため、スキルアップする気持ちがある方ほど医療事務に向いているといえるでしょう。
「何となくやってみよう」と考えている方にはおすすめできません。

面接時にそういった状態であることがわかれば、マイナスポイントになります。
自分に適した職業であるかもっと詳しく知りたい方は、医療事務の仕事内容や向いている人の特徴をまとめた記事も参考にしてみてください。


また、おすすめの医療事務資格をまとめた記事で、スキルアップ向けの資格も紹介しています。
これから医療事務を目指す男性は、ぜひチェックしておきましょう。

なお当サイトでは、医療事務として勤務経験がある方を対象にアンケート調査も行っています。
医療事務のやりがいや大変なところなどを聞いていますので、医療事務の仕事内容をもっと詳しくイメージしたい方はぜひそちらもご覧ください。



男性もぜひやりがいを感じながら働いてほしいです。

