この記事の執筆・監修者
櫻井しお
産休育休を経て現在総合病院にて勤務中。複数の病院にて業務を行ってきました。約10年間、現場のマネージャーを務めた実績もあります。
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エピソードとともに掲載している写真は、ご本人様より提供いただいたものを使用しています。
医療事務として働くなかで、避けることのできない患者さんからのクレーム。
もっともなご意見から理不尽に感じるものまで、その内容はさまざまです。
そこで当サイトでは、医療事務の本音をリサーチするために独自アンケート調査を行いました。
この記事では、医療事務経験がある10人に聞いた「印象に残っている患者さんからのクレームと対処法」を紹介します。
目次
医療事務10人のクレーム対応事例!患者さんとのエピソードを紹介
10人の医療事務に聞いた、実際にあった患者さんからのクレームと、そのときの対応を紹介します。
アンケート調査は「クラウドワークス
」で行い、以下の項目に回答していただきました。
- 医療事務歴
- 1番印象に残っているクレーム
- そのときの対応
- 理不尽なクレーム
事例1:”当たり屋”の患者さんからの一方的なクレーム
零一二さんの合格証書
1人目は、零一二さん(40代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
入れ墨が入っている日本人と、20代の外国人男性が、自賠責保険で外来通院をしていました。
いわゆる”当たり屋”だと思われます。
大した症状もなく、治療費を稼ぐために毎日リハビリに通っていました。
定期的に診察が必要なのですが、案内してもすぐには入らず、長引かせる気持ちが見え見えです。
自賠責保険で認められる期間もあり、リハビリも随分通ったので、医師は「治療終了」と診察で説明しました。
しかし、それを認めず「まだ痛い」と言い続けます。
最後には担当した医師の悪口を言い、玄関を蹴って帰って行きました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
目の前で否定的に伝えると怖いので、同調しつつ、自賠責保険にも限りがあると請求面での説明をしました。
痛ければ健康保険で続けて通院する方もいらっしゃると、具体案も案内しました。
最後に「納得できないのであれば自賠責保険の保険会社に相談してください」とお願いしました。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
20代男性の看護助手がいたのですが、年配の女性に「なんで診察のときにいるの?服を脱いだりするのに恥ずかしい」と言われ、返答に困りました。
事例2:名前の確認で相手を怒らせてしまった
ななさんの合格証書
2人目は、ななさん(30代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
精神科の病院で働いていたときのことです。
患者様からの電話を他部署につなぐ際はフルネームで名前を確認し、家族の場合は患者様との続柄を確認するのが決まりでした。
きちんと確認せずに他部署につなぐと注意を受けてしまいます。
しかしある日の電話で、患者さんに名前を聞いてもなかなか教えてもらえず、「いいから〇〇さんにつないで!」と言われてしまいました。
「名前を確認できないとおつなぎできませんので教えていただけませんか?」とお願いして、やっと名前を聞きました。
聞いたのは女性の名前です。
電話口の声が男性に聞こえたため、ご家族の方かと思い「その方との続柄を教えてもらえませんか?」と聞いたのですが、ご本人だったようです。
かなりご立腹され、直接窓口に交際相手の男性と来られ「さっき電話に出たのは誰だ」と怒鳴られました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
「申し訳ありません。入ったばかりで声だけではどなたかわからなかったのでお伺いしました」と謝罪し、その患者様と仲の良い相談員さんからも謝罪をしてもらい、その場は収まりました。
その後何度か顔を合わせるうちに、その方とは打ち解けられました。
すべてマニュアル通りではなく、多少の融通は必要だと学んだできごとです。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
いつも時間通りに来ない医師がいます。
朝9時から診察開始で予約も入っているのに、9時30分以降に診察が始まることが多い状態。
患者様から事務に何度もクレームが来て、「何で私たちがこんなに嫌な思いをしないといけないんだろう」と思いました。
医師にも伝えましたが、なかなか改善されません。
患者さんも医師に直接言う方はおらず、医療事務にクレームを伝えてきます。
事例3:医療事務経験者から「診察代が高い」と言われた
akaneさんの合格証書
3人目は、akaneさん(40代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
ある女性の患者さんから、会計時に「診察代が高い!」とクレームを受けました。
それだけならよくあるクレームですが、その方は「私は医療事務経験者だ!」と言っていました。
2年に一度点数改正もあるし、色々変わっているところもあります。
しかし「私は知らない」と言って、こちらの説明を聞こうとしません。
聞かないのに「高い」ばかり言われて、どう説明したらいいかとても悩みました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
口で説明しても聞いていただけないので、医療事務ならわかるであろう点数表を直接持っていき、患者さんに見せました。
国で決めていることだと説明しました。
あまり納得していなっかたようですが、医療事務経験者なら文句を言う前に自分で勉強してほしかったです。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
医師の悪口を受付や会計で言われました。
こちらとしてはなかなか答えにくいものです。
事例4:返却しているはずのものがないと騒がれた
みさおさんの合格証書
4人目は、みさおさん(40代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
ご高齢の男性から、受付時に保険証と一緒に提出した医療証が返却されていないとクレームがありました。
医療事務側としては、保険証と医療証は必ず一緒に返しているはずです。
「探しても手元にはない!」と受付で大きな声で言われました。
後日また来院された際も「返されてない!そっちがなくしたんだ!」と何度も言われました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
まず、通常は保険証が返却されているなら必ず一緒に返していることを伝えました。
さらに患者さんご自身でも、バッグの中を再度確認していただきました。
私たちも受付の中を探し、床や隙間に落ちていないかまできちんと確認をしました。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
市の検診を委託されてやっていました。
検診内容はすべて市が決めているのですが、こちらに不満を言われました。
事例5:自分勝手な要望ばかり伝えてくる患者さん
なのかさんの合格証書
5人目は、なのかさん(30代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
入院中のとある患者さんから「隣の患者さんの声がうるさいから、ほかのベッドに移動してほしい」と言われたのが始まりです。
要望に沿ってベッドを移動したのですが、その後も「個室での治療はできないのか」「できないならほかの病院を検討する」と言われました。
ほかの患者さんたちも病室にいるなかでの発言だったため、病室が凍りつきました。
幸い大きなトラブルに発展することはなかったのですが、先生含めて病院スタッフ全員が、ほかの患者さんがどう思っているのかヒヤヒヤしていました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
ベッドを端のほうにするなど、対応できる範囲内で要望に添いました。
ただ、ほかの患者さんにも同じようにはできないため、個室などは用意できないことも誠心誠意お伝えしました。
思うようにいかなかったからか、結局その患者さんは他院へと転院されてしまいました。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
病院はまったく関係ないのに「保険証が届かない」とかなり怒られました。
事例6:クリニック側のミスだと決めつけられて怒鳴られた
ゆうこさんの合格証書
6人目は、ゆうこさん(40代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
初診の患者さんから、帰宅後に「保険証を返してもらっていない」というクレームがありました。
クリニックではたまにあることですが、ほとんどの方は「見当たらないのですがそちらにありませんか?」といったソフトな口調で電話をしてきて、クリニックにはない旨を伝えると納得してくださいます。
しかしそのときの患者さんは「受け取っていない!返し忘れただろう!」と決めつけて、怒鳴るような口調でした。
しかも3日間連続で「探しているのか?もし悪用されたら訴えるからな!」と、日に日に激しくなっていきます。
4日目にピタッと電話が来なくなったので、おそらく見つかったのだろうと思いました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
返し忘れの対策として、保険証を預かったときは受付の来院表に丸印をして、返したときにその丸を線で消すという方法とっていました。
その印の記録があることもていねいにお伝えしたのですが、「そんなの証拠にはならないだろ!」と余計お怒りになってしまいました。
「返した、返さない」というだけの言い争いになるよりは、対策をとっていたことが少しは良かったのかなと思います。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
「待ち時間が長い」と事務に向かっては散々クレームを言うのに、医師や看護師の前では低姿勢になる患者さんが結構います。
理不尽だなと思いました。
事例7:テレビカードへのクレームが増えている
チサトさんの合格証書
7人目は、チサトさん(20代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
大部屋に入院する患者さんは、テレビカードを購入しなければなりません。
1枚1,000円ほどで販売されているのですが、このカードに対するクレームは意外と多いです。
その内容の多くは「なぜテレビを観るだけでお金を払わないといけないんだ!」「入院費は払っているんだから、テレビはタダで観せろ!」といったものです。
また、ベッドの横に床頭台が設置されているのですが、冷蔵庫を保冷するためにもテレビカードが必要です。
この点を理解していない患者さんも多く、「テレビカードなのに冷蔵庫でも必要なのか!」と言われることもあります。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
私にはどうすることもできません。
このようなクレームは昔からありましたが、ここ最近特に増えているように思います。
おそらく、テレビカードの利用方法が十分に伝わっていないことが原因です。
患者さんにきちんと説明をし、テレビの視聴環境を改善してほしいです。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
訪問介護を受けている患者様から「野菜の廃棄部分が多い。食べられる部分まで捨ててしまうなんて信じられない!いったい何を教わってきたの?」と指摘を受けました。
事例8:患者さんのためにやっていたことがクレームになった
さえさんの合格証書
8人目は、さえさん(20代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
リハビリの受付をしています。
その中の1人の患者さんが少し厄介な方でした。
普段は感じのいい方なのですが、少しでも気に触ることがあると威圧的な態度をとります。
ある日、その方からクレームの電話がありました。
私が対応した内容ではなかったのですが、なぜか最終的に「あなたの態度はいつも悪い」と言われ、私へのクレームになってしまいました。
彼は私に対して「リハビリのときに毛布を取ってくれない」と言います。
毛布をすぐに取ってしまうと「早く帰れ」という気分にさせてしまいそうだし、寒くなるかもしれないと思って取らずにいたんです。
私はほかの方よりも言葉数が少なかったかもしれませんが、患者さんのことを考えてやっていたことがクレームにつながってしまいました。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
彼の態度に対して、聞き手としての姿勢をとるように心がけていました。
彼の言葉を真摯に聞き、理解しようとすることで、相手の気持ちが変化することもあります。
また、その患者さんが威圧的な態度をとった原因を共有し、同じようなことが起きないように周知すべきだと感じていました。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
患者さんの中には、医師と意見が合わずに喧嘩になる人が多くいます。
私たちスタッフは、その理由を知りません。
そのような状況下で、患者さんが怒りを引きずったまま医療事務に対して文句を言い続けることがあり、対応に困ってしまいます。
また、医師に直接意見を伝えられない患者さんが、診察が終わったあとに私たちに文句を言うこともあります。
正直「なぜ私たちが謝らなくてはいけないの?直接医師に言ったほうがいいのでは?」と思ってしまいます。
事例9:限度額が適用になっていないことへのクレーム
9人目は、らみーさん(30代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
入院していた患者さんのご家族で限度額適用認定証をお持ち方が、支払い後に限度額が適用になっていないことに気づいて激怒し、来院しました。
患者さんは限度額適用認定証を病院に提示したとのことでしたが、病院側にその履歴がありませんでした。
提示があった保険証や受給者証は必ずコピーをとっているのですが、コピーがありません。
提示がなかったと言い切りたいところですが、複数の職員で対応しており、不慣れな職員もいるので、見落とした可能性もあります。
患者さんも限度額が適用になっていないことに気づかないまま、半年くらい支払いをしていました。
更新のタイミングで適用になっていないことに気づいたようです。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
高額療養費制度の案内をして説明をしました。
しかし「高額療養費の手続きに行きたくない。なぜこんなことになったのか理由を説明して欲しい」とのこと。
病院側にもコピーがないことを説明しても、納得してもらえません。
大きな声を出す方だったので、返戻依頼を出し、病院から返金することにしました。
今後このようなことがないように対策してほしいとのことだったので、入院時に提示して欲しいものを記載したチェックリストを作成し、患者さんへ渡すことにしました。
また、支払い時に患者さん側にも確認していただけるように、お願いの文言を記載しました。
それを見て納得されました。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
「先生の対応がひどい」と、泣きながら怒られました。
私は何もしていないのに、理不尽だなと感じました。
事例10:院長の態度の悪さに対するクレーム
10人目は、ゆーちゃんさん(30代女性)です。
- 患者さんやその家族から受けたクレームで、1番印象に残っているエピソードを教えてください。
-
私が勤めている病院は、もともと院長の患者様に対する態度があまり良くないと評判でした。
その態度に怒って検査を受けずに帰られる方、会計をする際に「もう二度と来ませんから」と言ってくる方もいます。
先日、2か月ほど前に受診した年配の男性から電話がありました。
その男性は「そちらを受診した際、検査の説明で先生はこちらの顔も見ずに”特に異常はない”とだけ言って終わりました。態度にイライラしましたが、そのときは何も言わずに帰りました。しかし2か月経った今でも、毎日のように思い出して胸がモヤモヤするので電話をしました」とご立腹でした。
- そのクレームに対して、どのように対応しましたか?
-
20分近くお話を伺い、最終的に満足されたのか「あなたは悪くないのにごめんね。ただ先生にはもっと地域に貢献する気持ちで頑張ってもらいたい」と言われて電話は終わりました。
院長に伝えましたが、態度は今も変わっていません。
- 「理不尽だな」と感じるクレームを受けたことはありますか?
-
ワクチンの予約に関するクレームで「コールセンターが出なくて予約が取れない」といった内容があります。
病院で直接予約はしていないと伝えても、文句を言って帰る方は多いです。


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【私の体験談】医療事務現場で実際にあった患者さんとのトラブルとクレーム対応方法
医療機関ではさまざまなクレームに遭遇します。
ここでは私の体験談として、実際にあった患者さんからのクレームを紹介します。
笑顔での対応に八つ当たりする患者さん
「こっちは具合悪くて来ているのに笑ってるんじゃねーよ!」
突然、年配男性の患者さんに怒鳴られて、上手に言葉を返すことができずに固まった経験があります。
「医療事務は病院の顔だから、笑顔で応対してください」
上司にそう指導され、新人ながらもなるべく笑顔でいることを心がけて対応をしていた頃です。
櫻井しお
その場は先輩のフォローで切り抜けましたが、しばらくは窓口に立つことが怖いとすら感じていました。
あとから聞いたのですが、その患者さんは体調が悪いなか、長い待ち時間を過ごしていたそうです。
当たる場所がないイライラを、新人の私にぶつけていたのだと理解しました。
医師の治療方針に対するクレーム
窓口にいると、よくあるのが医師に対してのクレームです。
- 話し方が冷たい
- 聴診器も当ててくれない
- パソコンばっかり見ている
このようなクレームは、医師に直接言えない患者さんからよくあります。
「検査ばかりしていて、全然診断してくれない」と、会計窓口で延々とクレームを言う患者さんもいました。
医師としては色々な検査をしなければ診断できないため、必要な検査をしていたはずです。
しかし事前の説明が足りない場合や、患者さんの理解がないまま検査を進めてしまうと、このようなクレームにつながってしまいます。
この場合、医療事務としては以下のように対応する場合が多いです。
- 先生にお伝えしておきますね
- もう一度診察室に戻って、先生に直接お話しされますか?
患者さんが納得しない場合は、看護師に対応を代わってもらう必要もあります。
ほかの病院と比較する患者さん
患者さんから「〇〇病院より高い!同じ治療なのにこの病院は間違っているんじゃないか」とクレームを受けることがあります。
診療報酬は国で決められているため、どこの病院でも同じです。
しかし、病院の規模や施設基準により算定要件が異なるため、まったく同じにはなりません。
患者さんが「同じ治療」と考えている内容も、検査や処置が異なる場合もあるのです。
また、ほかの病院と比較されて以下のようなクレームを受けることもあります。
- 病棟の看護師の対応は〇〇病院のほうが良かった
- 精算機のシステムが〇〇病院と違って使いづらい
正直、事務ではどうすることもできない内容ばかりです。
櫻井しお
患者さんの話を聞き、病院によって違いがあることを説明する必要があります。
休憩に入るスタッフに対してのクレーム
「俺は何時間待ってるかわかってるのか!昼もまだなんだ!お前らが休憩なんて行ってるんじゃねぇ!」
窓口で業務をしていた私の先輩が、突然患者さんから言われた言葉です。
休憩に行く病院スタッフが、待合室の廊下を楽しそうに会話をしながら通り過ぎたという内容。
話を聞くと患者さんは午前中から診察を待っていて、検査のため朝から食事をせずにいる様子でした。
クレームがあったのが14時頃だったため、患者さんがイライラする気持ちもわかります。
患者さんにはその場で謝罪し、診察の順番を少し早めることで納得していただきました。
それをきっかけに、院内では休憩時のルールが定められました。
- 休憩に入るときは待合室を通らない
- 待合室を通る際は複数人で移動しない
- 患者さんには休憩に入ることがわからないようにする
櫻井しお
患者さんの気持ちを配慮すると、仕方のないことかもしれません。
医療事務としてのクレーム対応ポイント
医療事務をするうえで、クレームはなかなか避けられない問題です。
しかし、対応のコツや対処法を知っていると、必要以上に精神的なダメージを受けにくくなります。
クレームを上手に乗り切るポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
最初の声かけが大切
感情的になっている患者さんには、最初の声かけが大切です。
”怖い”と感じてしまうこともありますが、相手と向き合う姿勢をとりましょう。
ときには大声で怒鳴り散らし、自分で制御できないくらい感情的になっている方もいます。
しかし「ほかの患者様の迷惑になるので……」と無理やり制御しようとするのはよくありません。
櫻井しお
早めに落ち着いてもらうためにも、聞く姿勢を見せることが大切です。
慌てずに訴えを聞く
患者さんの話を遮らずに、まずは訴えを聞きます。
話の途中で、患者さんを否定する発言や、自分の意見を言うことは避けましょう。
相づちや表情にも注意が必要です。
櫻井しお
「無言」「無表情」で話を聞く人もいますが、正しい対応ではありません。
感情的になっている患者さんに対して落ち着いて対応することは難しいですが、まずは慌てないことが大切です。
「すぐに〇〇しなければ!」と焦ってしまうと、正しい判断ができなくなってしまうので注意しましょう。
話を整理する
患者さんの話を一通り聞いたあとに話を整理し、内容に違いがないか確認することも大切です。
「そうだったのですね。~~ということで間違えありませんか?」と聞き返してみましょう。
感情的になっていると話が途切れ途切れになり、誤った内容で伝わってしまう可能性があります。
櫻井しお
大きなトラブルにつながらないためにも、複雑なクレームほど時系列で整理しましょう。
対応できること、できないことを伝える
クレーム対応で大切なのは、患者さんの意見をすべて叶えることではありません。
病院側として対応できること、できないことをきちんと伝えることです。
「できないこと」を受け入れてもらうのは難しいかもしれません。
一方的に「できない」と言い張るのではなく、相手の気持ちを受け入れたうえで「大変申し訳ありませんが……」とていねいに伝えましょう。
きちんと謝罪する
相手の怒りを抑えるために、言われた言葉に対して「とりあえず謝ろう」という態度ではいけません。
何について謝罪しているのか、相手に伝える必要があります。
- 不快な思いをさせてしまい申し訳ありません
- 〇〇についてご迷惑おかけして申し訳ありませんでした
その場を収めようとして「申し訳ありません」ばかり言っていると、患者さんのクレームをすべて認めることになります。
そうではなく、相手の話をよく聞き、話の内容を整理したうえで謝ることが大切です。
その際、患者さんの顔をきちんと見て、はっきりと言葉を伝えましょう。
早口になってしまったり、目線が合っていなかったりすれば、誠意を感じられずに相手はさらに怒ってしまう可能性があります。
櫻井しお
なかには患者さんをあしらうような態度をとる方もいますが、絶対にやってはいけない対応です。
場所と人を変える
なかなか患者さんの気持ちが落ち着かないときや、対応が難しいと感じたときは、対応する場所と人を変えましょう。
ほかの患者さんへの影響を考え、個室に案内するのも1つの方法です。
トラブルの際に「誰に」対応を代わってもらうのかを、事前に確認しておくことも重要になります。
自分で対応するのが難しいときは「上の者に代わります」と伝え、上司に経緯を話しましょう。
櫻井しお
責任者に話を聞いてもらうことで、患者さん側の安心につながることもあります。
患者さんからのクレームを未然に防ぐために大切なこと
患者さんからのクレームは、医療事務側で対策を行えば未然に防げるものもあります。
クレームを未然に防ぐために大切なことを紹介しますので、できることから実践してみてください。
クレーム対応マニュアルを作る
職場に「クレーム対応マニュアル」があると、新人でも対応できるので安心です。
以下の内容を記載し、スタッフで共有しましょう。
- 院内のルール
- 情報共有の方法
- クレームの窓口
- 対応するときのポイント
- よくあるクレームへの対応
マニュアルがあることで、スタッフの対応を統一できるメリットもあります。
ていねいに接する
受付をする医療事務にとって、患者さんにていねいに接するのは基本的なこと。
しかし、忙しさなどから愛想が悪くなってしまう方も多いのが現状です。
患者さんは「雑に扱われている」と感じるほど、不快や不満から感情的になりやすい傾向があります。
医療事務の些細な言動に敏感になってしまう方も多いため、ていねいな対応を意識しましょう。
- 言葉遣い
- 笑顔
- しぐさ
- 身だしなみ
- 案内の仕方
- 話しかけやすい雰囲気づくり
「受付の態度が悪い」と言われる医療機関ほど、上記の対応ができていないことが多いです。
なお、医療事務の資格には、医療機関での接遇に特化したものもあります。
接遇スキルを向上させたい方は、ぜひ挑戦してみましょう。
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非があるときは正直に謝罪する
医療事務側に非があるときは、正直に謝罪することで大きなクレームにつながるのを避けられます。
例えば会計時の計算を間違ってしまったときは「大変申し訳ありません。先日の会計を誤って計算してしまい、追加の会計がございます」と伝え、まずはきちんと謝罪をしましょう。
お金のトラブルは病院の信頼にも大きく関わるため、患者さんが納得できるように伝えることが大切です。
必ず情報を共有する
患者さんからのクレームがあったときは、1人で問題を抱え込まず、必ず職場の上司に報告しましょう。
院内で情報共有できれば、次に同様のクレームやトラブルが起こったときに安心です。
さらにマニュアル化もできれば、経験が浅いスタッフでも慌てずに対応できます。
まとめ:医療事務としてクレーム対応のポイントを押さえておこう
医療事務は患者さんからのクレームを受けやすい仕事です。
しかしその背景には、体調面や待ち時間へのストレス、病院側の対応など、さまざまな原因がともなっていることも多くあります。
ときには理不尽に感じるクレームもありますが、感情的になってはいけません。
クレームに対して必要以上に怖がらず、落ち着いて対処できるようになりましょう。
なお当サイトでは、医療事務を対象に以下のようなアンケート調査も行っています。
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