
医療事務歴約20年のライター、櫻井しおです。
産休育休を経て現在総合病院にて勤務中。複数の病院にて業務を行ってきました。約10年間、現場のマネージャーを務めた実績もあります。
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診療報酬事務能力認定試験は、公益財団法人 日本医療保険事務協会が開催している全国一斉統一試験です。
豊富な医療事務資格があるなかで圧倒的に難易度が高く、取得が難しいとされています。
そこでこの記事では、診療報酬請求事務能力認定試験の合格率や難易度、勉強方法について詳しくまとめました。
独学におすすめのテキストや通信講座も紹介しています。
ちなみに私は1回で合格しましたが、苦労した経験があるからこそ独学はおすすめしません。

就職や転職に有利になる資格であるのは事実なので、効率よく学んで合格を目指しましょう!

診療報酬請求事務能力認定試験の合格率

診療報酬請求事務能力認定試験の合格率と受験者の情報を紹介します。

合格率の平均は約30%
試験を主催する「公益財団法人 日本医療保険事務協会」の公式サイトの試験実績から算出すると、合格率の平均は約30%。(参考:診療報酬請求事務能力認定試験/試験実績)
直近の合格率は以下のとおりです。
医科 | 歯科 | 合計 | |
---|---|---|---|
第54回 | 37.5% | 35.5% | 37.5% |
第55回 | 39.4% | 35.5% | 39.3% |
第56回 | 28.3% | 37.5% | 28.5% |
第57回 | 36.1% | 33.9% | 36.1% |
第58回 | 37.0% | 31.2% | 36.8% |
医療事務のなかでも診療報酬請求事務の試験が最難関と言われる理由は、合格率の低さにあります。
受験者は若年層の女性が圧倒的に多い
実際にどのような方が診療報酬請求事務の試験を受験しているのか、公式サイトの情報をもとに紹介します。(参考:診療報酬請求事務能力認定試験/受験者状況)
今まで受験した人の性別は、女性が圧倒的に多いのが特徴です。
医科 | 歯科 | |
---|---|---|
男性 | 9.0% | 9.5% |
女性 | 91.0% | 90.5% |
年齢構成は医科と歯科の合計で、以下のようになっています。
年齢 | 割合 |
---|---|
16~20歳 | 40.9% |
21~25歳 | 19.4% |
26~30歳 | 15.0% |
31~35歳 | 9.5% |
36~40歳 | 6.5% |
41~45歳 | 4.4% |
46~50歳 | 2.6% |
51歳以上 年齢不明 | 1.7% |
診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務の専門学校で推奨されることが多い試験です。
実務経験がない、若年層の方が多く受験している様子がわかります。
診療報酬請求事務能力認定試験の難易度が高い理由
診療報酬請求事務能力認定試験の合格率約30%という数字は、第1回の試験からほとんど変わりません。
ここでは実際に資格を保有する私の経験から、難易度が高い試験である理由を紹介します。

難易度は高めですが、仕事をするうえで有利になる資格です。

範囲が広くて暗記が通用しない
診療報酬請求事務能力認定試験は、試験範囲が広く、問題数が多いことが特徴です。
そのため、概要のみの理解や暗記では試験対策になりません。

私もなかなか覚えられなくて苦戦しました。
問題数が多くて時間内の解答が難しい
特に学科試験は問題数が多く、いかに時間をかけずに解答するかが合否の分かれ道です。
試験時間は3時間。
学科試験と実技試験に分かれていますが、試験開始と同時にすべての問題が配布されます。
学科試験の問題数は全20問、各5択。
資料の持ち込みが許可されています。
問題は「4つの文章のうち、正しい文章を選んだものとして正しい組み合わせはどれか」という形式での出題です。
解答例
a:(1)、(2)
b:(2)、(3)
c:(1)、(3)、(4)
d:(1)~(4)のすべて
e:(4)のみ
1問の中に4つの文章があるため、実際は「4×20問」で80個の文章を読んで正誤を判断する必要があります。
資料を使用せず解答するのはほぼ不可能であり、かなりの時間を要するので注意が必要です。

速く解けるように練習を繰り返しましょう。
実技試験では、外来カルテレセプトと入院カルテレセプトを作成します。
カルテに記載されている内容を読み取り、レセプト(診療報酬明細書)を手書きで作成しなければなりません。
外来のレセプト作成は、基礎が理解できていればそこまで難しくはないと感じます。
しかし入院のレセプト作成はカルテの情報量が多く、届出の種類の設定や手術に使用した材料など、多くのことを書かなければなりません。
難易度が高いことに加え、書く項目が多い入院のレセプト作成。
それだけで最低でも1時間は必要です。
実技試験の合格は、入院のレセプトがいかに早く正しく作成できるかが鍵になるでしょう。
学科と実技の両方に合格する必要がある
資格を取得するためには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
しかし、まったく違う知識と対策が求められるのが難しい部分です。
例えば学科試験では、医療保険制度などの法令に関する問題が出題されます。
一方で実技試験は、カルテに書かれた内容を読み取りながらレセプトを作成する内容です。
レセプト作成では、カルテを正しく理解し、それを点数化してレセプトに書き入れるという、実務に近いスキルが求められます。

実務に携わったことがない方には難しく、合格率を下げている要因です。
独学で合格するのは難しい!無理ではないけど覚悟が必要

診療報酬請求事務能力認定試験に独学で合格することが100%無理なわけではありません。
できればおすすめしないというのが本音です。
ここでは、独学での勉強を考えている方に向けてまとめています。

保有者の私が独学をおすすめしない理由
- テキスト選びが難しい
- 1人で勉強することが大変
- 勉強のスケジュール管理が難しい
診療報酬請求事務能力認定試験の勉強をしていると、絶対と言える確率でわからないことが出てきます。
自分1人の力で理解するのがかなり難しいところです。
その結果、モチベーション維持ができなくなり、試験を受ける前に挫折する可能性が高まります。

合格した私自身の経験だけでなく、ほかの受験者をたくさん見てきた経験から言えることです。
独学で合格できる可能性があるのはこんな人
医療知識のある医療事務経験者であれば、独学で合格できる可能性があります。
もしくは身近に診療報酬請求事務能力認定試験の合格者がいて、勉強を教えてもらえる環境があれば合格できるかもしれません。
独学で勉強するメリットは、自分で勉強のスケジュールを管理できることと、費用が抑えられること。
ただ、逆に言うと費用以外の大きなメリットがありません。
費用面だけで独学を選ばないほうがよいでしょう。
どうしても独学で試験に挑戦したいのであれば、以下の2つの方法がおすすめです。
- ほかの医療事務資格を取得してから挑戦する
- 医療事務の仕事をして、ある程度の知識を得てから挑戦する
まったくの初心者から独学で挑戦するのはかなり遠回りになります。
まずはほかの医療事務試験を受験して、基礎知識を深めるのがおすすめです。
比較的難易度が低く、在宅受験可能なものから挑戦してみましょう。
当サイトではおすすめの医療事務資格を紹介する記事もありますので、初心者向けの資格をチェックしてみてください。

医療事務の資格にはさまざまな種類がありますが、どの医療事務試験でも基礎知識を得ることができます。
基礎ができていれば、応用的な試験である診療報酬請求事務能力認定試験の勉強にも役立つでしょう。
独学におすすめのテキスト
診療報酬請求事務能力認定試験を独学で勉強したい方におすすめのテキストを紹介します。
受験しようか悩んでいる方は、どのようなことを学ぶ必要があるのか、テキストを購入して確認するところから始めてもよいでしょう。

決意が固まってから通信講座などで本格的に勉強するのもありです。



さまざまなテキストがあるなかで、特におすすめなものをピックアップしました。
なお、試験では必ず最新版のテキストを使うことが重要です。

フリマサイトなどで古いテキストを購入しないようにしましょう。
合格には通信講座が近道!診療報酬請求事務能力認定試験の合格を目指せる講座を紹介
会社名 | 講座名 受講費用(税込) | サポート期間 (延長含む) |
---|---|---|
たのまな![]() | 【診療報酬請求事務能力認定試験対策講座![]() eラーニングコース:52,000円 DVD+eラーニングコース:53,800円 | 6か月 |
たのまな![]() | 【医療事務+診療報酬請求事務能力認定試験対策セット講座![]() eラーニングコース:78,000円 DVDコース+eラーニングコース:79,400円 | 12か月 |
フォーサイト![]() | 【診療報酬請求事務能力認定試験(医科)通信講座![]() 通常セット:42,800円 DVDオプションセット:46,800円 | 本試験前日まで |
より合格する確率を高めたいなら、カリキュラムに沿って効率よく知識を身につけられる通信講座がおすすめです。
通信講座には以下のようなメリットがあります。
- テキストを選ぶ必要がない
- 試験対策ができる
- いつでも質問できる
- スケジュール管理をしてくれる
なお、試験当日は資料の持ち込みが可能です。
通信講座なら必要なテキストが揃っているため、試験当日も安心して持ち込めます。
また、ここで紹介している通信講座は動画によって理解を深めながら学べる講座です。
資料請求をしたり、サンプル動画を視聴したりして、自分に適した講座を選びましょう。
ちなみに私はヒューマンアカデミーの通学コースで集中的に学びました。
とてもおすすめだったのですが、今では通学コースがなくなってしまったようです。
代わりに同じヒューマンアカデミーの「たのまなの通信講座」が、診療報酬請求事務能力認定試験に対応しています。
現時点で医療事務未経験&資格のない方は、まずは通信講座で初心者向けの資格を取得するのがおすすめです。
当サイトでは医療事務資格を取得できるおすすめの通信講座を紹介している記事もありますので、ぜひチェックしてみてください。


徹底的に比較をして、幅広い目的に適した講座を紹介しています。
診療報酬請求事務能力認定試験の概要
主催 | 公益財団法人 日本医療保険事務協会 |
合格率 | 医科・歯科ともに30~35%(参考) |
試験日程 | 年2回(7月・12月)の日曜日または祝日 |
(税込) | 受験料9,000円 |
試験内容 | 学科、実技 |
合格基準 | ※毎回変動する(参考) ※第55回(令和4年7月)の場合 <医科> 学科:70点以上 実技:80点以上 <歯科> 学科:80点以上 実技:85点以上 |
受験方法 | 全国の試験会場 |
試験概要 | 公式サイトで詳細を見る |
学科試験の問題数は全20問、各5択。
しかし、実際は80個の文章を読んで正誤を判定しなければならず、かなりの時間を要します。
実技試験では、外来カルテレセプトと入院カルテレセプトを作成が必要です。
特に入院のレセプト作成は難しく、90分近くかかるような内容になっています。
試験の時間配分を考慮しないと、最後まで完成させることができません。
実技試験と学科試験、どちらから始めてもOKです。
学科試験はマークシート形式で、資料の持ち込みが許可されています。
私が受験したときは、持ち込んだ資料を使わずに正誤を判定するのがほぼ不可能な問題が出題されました。

しっかりと対策をしていないと、時間内にすべて解答するのは難しいでしょう。
まとめ:合格率が低いからこそ、入念な準備をしてから受験しよう

診療報酬請求事務能力認定試験は、合格率約30%で難易度の高い試験です。
ほかの医療事務資格がなく、未経験者が合格を目指すのは難しさがあります。
スクールなどに通っていない方は、独学で勉強するよりも通信講座で効率よく学ぶのがおすすめです。
難しい試験ではありますが、資格保有者は就職や転職で有利になること間違いなし!
私が医療事務の採用担当をしていた頃は、診療報酬請求事務の資格を保有している人を優遇する傾向がありました。
今でもきっと変わらないでしょう。
私自身も、資格を保有していることで先輩や上司からかなり驚かれた経験があります。

そのくらい価値のある資格なので、ぜひ挑戦してみてください!


